内容説明
性別確認検査とは一体何を調べているのか。その発端は女性もスポーツに参加し始めた1930年代にあった。ナチス影響下のオリンピックに前後し、各大会を運営する男性たちのミソジニー的な思惑で科学を軽視した無責任な検査が行われていった。そして忘れ去られる当事者たち。スポーツとジェンダーをめぐる問題のルーツがここに。
目次
はしがき
PART I 勝利 Triumph
PART II ナチス登場 Enter the Nazis
PART III 性別確認検査 Surveillance
PART IV ベルリン以降 After Berlin
謝辞
原注
解説 クィアとファシズムの歴史としての性別確認検査 井谷聡子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
航
0
膨大な参考資料が挙げられている精緻な歴史書でありつつ、登場人物が生き生きと描かれていて、映画を観るように心を委ねて読んでしまった。登場する選手が「選手」になる前、はじめてスポーツに出会ったときの瑞々しい喜びは、スポーツには苦手意識を強く持っている私にもひしひしと感じられた。他方で、選手たちを支配し抑圧する側のスポーツ団体上層部の登場人物たちも、その行為の事実だけを見ればひたすら腹が立つのに、オリンピック開催に向けた熱意や執念が、本人の言葉を引きながら説明されるので、感情移入し、ときには応援もしたくなった。2025/10/06




