内容説明
謎の解決の糸口は 猫の記憶を覗く“あの”儀式。
鎌倉の人々と猫の優しい物語。
『猫を処方いたします。』著者・石田祥氏、推薦!
鰹節の芳しさと、“アレ”。――どちらも幸せな香りです。
目を閉じて、思い切り吸い込んでみたくなります。
鎌倉の片隅に佇むかつお節屋「カツヲ堂」。
夢に破れた青年・凛は、店主のおばあちゃんのもとに身を寄せていた。
ある日、近所の人に困りごとを相談され真相を探ることになったが、解決の糸口は めない。
そんな時、おばあちゃんから【猫吸い】の儀式を教わる。それは、猫のお腹に顔を埋めて香りを吸い込むことで、“猫が見た過去”を追体験できるというもの。
凛は猫吸いで得た情報をヒントに謎を解いていく――。
これは青年が猫に導かれれ、居場所を見つける心優しい物語。
プロローグ
第一章『カツヲ堂といなくなった猫』
第二章『僕の血液型と二度助けられた猫』
第三章『迷子の子猫ちゃんとストローおじさん』
第四章『消えたタイムカプセルと番猫』
最終章『吾輩は、ソウセキの猫である』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
74
猫吸いをすることによって猫の記憶を見る事ができる能力を身に着けた凜は若くして鎌倉の鰹節店を継いで半年、商店街の人たちのトラブルを猫の助けで解決していくナツメさんのことは多分そうなんだろうなとすぐ分かったが、何故親族でもない凜が店を継ぐ事ができたのかと疑問は残る、削りたての鰹節から取った出汁で作るスープが美味しそうで集まってくる猫たともかわいい、猫に鰹節そりゃ匂い釣られて集まってくるよね。2025/11/28
ゆのん
35
鎌倉のカツオ節店を継いだ元役者の主人公が町の人達の為に謎を解く日常ミステリー。謎を解く手段は張り込みでも聴き込みでも推理でもない。『猫吸い』という儀式で猫の記憶から謎解きをする少しファンタジックな不思議な話。読んでいくうちに主人公の過去や、店を継ぐ事になった経緯など知りたい事が出てきてラストまで一気に読んでしまう。主人公が猫吸いの為に猫のお腹に顔を埋めるのだが、断然猫派の私にもあの少し埃っぽい香ばしい匂いが蘇ってきた。ラスト手前では『おばあちゃん』の体調が気になりハラハラさせられる。暖かい物語だった。2025/04/15
seacalf
32
猫吸いを持ってくるとは、これまた風変わりな探偵の誕生だ。そしてこの物語の主軸となり、ふうわりと優しくも存在感たっぷりなのが極上の本彼節からとった出汁だ。出汁を作って振る舞われるスープの美味しそうなことといったら。想像するだけで頬が緩んでしまうこと請け合い。突然民宿の朝食の味が変わった事件、よく遊びに来る小学生とご両親とのつながり等々持ち込まれた謎を、個性豊かな猫たちへ猫吸いをすることによって解き明かしていく。訳あって鰹節屋カツヲ堂で働いている主人公の心の葛藤を描きながらも、どこまでも優しい物語だった。2025/10/01
ネムコ
22
題名と表紙が気になってジャケ買い。かわいいお話だった。ところどころツッコミを入れたくなったり、小道具を十全に使いきれていないところがあるけれど、雰囲気は良い。何より、かつぶしを削りたくなりました。昔は家でも削ってたんだよなー。それで美味しい出汁を取って家族と楽しみたい。2025/10/07
ち~
21
おばあちゃんと「カツヲ堂」を切り盛りする凛。ある儀式を経て猫にもらったヒントから謎を解く。ファンタジックでツッコミ所もありつつ読み進めると…?となってた箇所も最終章でスッキリ。ストーリーがとにかく優しくて温かい。幸せな気持ちで読了。2025/10/25




