内容説明
現代の複雑な恋愛観を巧みに描き切る、サリー・ルーニーの新境地
饒舌な弁護士だが私生活では空回りが多い兄と、社交が苦手な頭脳派チェスプレイヤーの弟。二人は父の死をきっかけに、互いの不器用さと向き合うことに。喪失の中で愛情を求め、複雑な恋愛関係や社会との距離に揺れ動く兄弟を描き切る、サリー・ルーニー最新作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
練りようかん
13
闘病の末亡くなった父。享年を余命と考えれば自分の人生は折り返し地点で、2人の女性の間で滅裂する兄。ほぼ恋愛初心者の弟は年上女性と親密な関係を結ぶもやはり父の喪失を抱えており、異性愛を通して兄弟愛を認め自分のものにするアプローチが斬新。兄弟の年齢差と交際相手の年齢がクロスする設定が物語としてじわじわきて、ルーニー作品としてお馴染みの対等ではない男女関係も表す、上手いなと思うポイントだった。思いは一緒でも、近しいからこそ複雑な様相を呈するのはよくよくあることで胸の内がわきあがる流れに引き込まれた。面白かった。2025/10/02
さみ
2
ブラームスを聴きながら、人も疎らな朝の電車で読むこの作品の美しさよ。人間関係というものは、何も考えないで構築するには複雑すぎるし、相手の顔色を伺いすぎても上手くいかない。チェスと同じように作戦も手順もあるわけではない。サリー・ルーニー作品は基本的に退屈、けど今回はその退屈さが苦痛ではなかった。2025/10/18
hrn
0
第一部のラストがあまりにも刺さって泣いてしまった。近しい人を亡くした時に、ああしていればこうしていればと過去を悔やんだり、有り得たかも知れない未来の世界を思ってみてしまう。『セックス・エデュケーション』を観た時も思ったけども、ドラッグストアで普通にアフターピルが買えるのがいいな…。2025/10/15
田中秀哉
0
アイルランドの作家さんの著作ですが、兄弟ともの考えに共感できました。・・・ って・・・ これって変なのかなぁ😅2025/10/25




