内容説明
仏教とキリスト教における障害者や同和地区の人々への差別や排除、戦争責任の実態に迫る
「因果応報」「悪因悪果」の教えのもとに、障害は前世の報いであると説く仏教。「人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われる」を金科玉条として掲げ、言葉を話せない障害者、ろう者や知的障害者には教会の門戸すら開いてこなかったキリスト教。不誠実な宗教者の態度は、驚くべきことに今日まで続いている。本書では、宗教者が加害の当事者として差別を助長してきた歴史に斬り込み、著者が実践するソーシャル・インクルージョンの観点から、宗教の本来的在り方を模索する。
障害者、ホームレス、アルコール依存症……「共に生きる教会(インクルーシブ・チャーチ)」川崎市桜本教会の元牧師と障害児教育専門の教師という二つの立場で日本の宗教界を見つめ続けてきた『ホームレス障害者』(日本評論社)の著者が、今こそ怒りを込めて告発する衝撃作。
宗教界のタブーに挑む、元牧師による渾身の告発!
【主要目次】
第一章 宗教の終焉
第二章 仏教の差別と排除
第三章 キリスト教の差別と排除
第四章 仏教の戦争責任
第五章 キリスト教の戦争責任
第六章 インクルージョンと宗教
第七章 宗教の復興への展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
73
【宗教が人を幸せにしてきたことより、不幸を与えてきたことの方が多かった】元牧師による渾身の告発。<本書が取り上げるのは、仏教とキリスト教における差別や排除の実態である。人は仏の下ですべて平等と説く仏教がどうして多くの差別や排除を生み出し、それを容認し、世の中に拡散させてきたのか。神はすべての人を等しく愛しておられると言いながら、なぜ現実には差別されている人々の側に立とうとしないのか。否むしろ排除する側に立ち、差別を助長しているのは何故か。宗教には確実に人々を差別し排除している事実がある>と。ええ…… ⇒2025/02/04
たまきら
37
真の救いとは一体何なんだろうー著者の胸を割かれるような強い叫びに圧倒された。神を信じ、その下で人々のために奉仕することを是としている者にとって、神の名を纏う宗教家による弱者への虐待や差別は、耐えられないものであろう。著者の強い怒りと、厭世を感じる。搾取する宗教ははたして宗教なのであろうか。真の救いとは一体何なのだろう。…ロシアの宗教哲学者ニコライ・ベルジャーエフ、読んでみたい。2025/07/14
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
16
白状しよう、これを読むまで「包括支援センター」の「包括」の意味が分かっていなかったと。キリスト教と仏教がいかに差別をしているかと槍玉に上がっているけど、そもそも「バチが当たる」という考え方そのものが差別であることを認識しなくては。バチが当たった人と免れた人を分離させるという行為そのものが差別かも。自分にバチは当たっていないと泥がかぶらないとこからの物言いは、たやすく差別にシフトしてしまうのだ。何なら「助ける」という考えそのものが、助ける人と助けられる人をわけてしまう差別。「バチが当たる」という言葉を使っ↓2024/12/31
hoven
2
重い本。現在110Pまで。宗教は結局人を救済してないじゃないか、救済どころか、差別し、戦争を煽り、障害者を排除してろくでもないじゃないかという感じ。2024/11/13
Ahmad Todoroki
2
県立図書館の新刊棚にあったのを、吸い込まれるように手に取ったら、これが大当たり。こういう本をずっと探していた!著者の手にかかれば、日本のキリスト教教会や仏教団体の著名人や聖人は数少ない例外を除いてすべからく差別者に他ならない。激烈な批判の数々だが、著者が長年障がい者教育に携わり、且つ社会から置き去りにされた困窮者をサポートしてきただけに説得力が並みの既存宗教批判本とはまるで違う。我田引水と読めない章もなくはないが、本書の批判と提言は至極真っ当だと思う。2024/10/04