内容説明
日本各地の異聞奇譚が大集結。
宝永六年刊行、著者未詳の奇怪な怪談集 初の現代語訳!
本書は、『日本書紀』をはじめとする歴史書から各地の地誌『風土記』、説話集など、古くは奈良時代に残された日本全国の怪異譚をおさめた古典怪談のアンソロジー。
化け猫、人面瘡、龍蛇、幽鬼、八百万の神、祟り、占い、夢枕、輪廻転生――不思議な話や伝説の生き物・妖怪が登場する不気味な話など、奇怪な逸話が105篇蒐集されている。
一体何者が蒐集し後世に残したのか皆目分からないという、その成り立ちからして怪異めいた奇書。ジャパニーズ・ホラーの原点ともいえる日本最古の怪談、その禁忌に上方文化評論家・福井栄一が挑む!
古典に関心のある方から、ホラー愛好家の方まで、今なお古びぬ良質な恐怖をひろく楽しめる一冊。
【主要目次】
まえがき
巻之一
巻之ニ
巻之三
巻之四
巻之五
巻之六
各話ごとの引用書目一覧
引用書目概要
あとがき
【収載エピソード一例】
*日本武尊(ヤマトタケル)、山神を殺すこと
*安倍晴明、花山院の前世を占うこと
*源実朝は宋の鳫の鳫陽山の僧の生まれ変わりであること
*吉田兼好の墓をあばいて祟りがあること
*鳳来寺の鬼のこと
*怨霊が主人の子を殺すこと
*夢告を得て、富を得ること
*女の死骸が蝶に変じること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
50
神話時代から近世の庶民にかけて起こった不思議な怪異譚を収録。1巻第10話の「豊後国田野のこと」は「神様は一粒の米にも宿る」説や米の値上がりでヒィヒィ言っている現在から鑑みてもゾッとする話だ。因果応報譚が多いが、源頼政の鵺退治の後日譚や嫉妬深い愛人の怨みで脚の根元に人面瘡ができて落魄した男など、後味の悪いものもあります。その上、地域は違えども子育て幽霊や鍛冶が媼などと類似点がある話も多いのが興味深い。それにしても伊賀に兼好法師の墓地があったなんて知らなかった。また、横道のような訳註が中々、楽しい。2025/07/19
moon-shot
3
本書の出版は宝永六年(1709)。時あたかも宝永地震や富士山の大噴火等の災害が頻発し、御伽百物語のような奇譚集が流行して怪談文学の隆盛期とも言える時代でした。一話一話は短く、短編と言うよりショートショート。全105話からなる構成は百物語を意識しているかもしれません。「殺生の報いで目鼻がなくなる病にかかること」が僅か5行の物語だけど怖かった。あと人の背から虱が湧き出る話とお祖母さんが3歳の孫を殺す話も怖かった。福井さんの現代語訳はとても読みやすかったです。ただ「猫又」は筑後の話になってますがこれは越後では?2025/06/29
ekura
3
宝永6(1709)年刊、7冊本の怪談集の現代語訳。『古今犬著聞集』からの引用が7割。関係あるようなないような訳者注がご愛敬。2025/03/20
やいゆえよ
2
なんだかどこかで聞いたことがあるようなないような怪異譚が百数篇集められている江戸時代の本。数寄者は時空上いたるところにいて、それは現代人とそう違わない。/現代語訳者のツッコミ(?)で脱力するのがご愛嬌。2025/08/07
とりもり
2
「怪異」と言ってもそんなに怖い話はなくって、どちらかと言えば殺生を諌めるような道徳話が多い。女性の嫉妬が男を悩ませる話が多いのは江戸時代だから仕方ないが、あまり現代的ではないな。一つ一つの話の後に訳者の注釈があるが、本文とあまり関係がないものが多く、これはこれで面白かった。「金」の注釈にある「うなるのは 嘘だが金は ものをいい」という川柳が秀逸。「怪異記」と関係ないけど。★★★☆☆2025/04/22
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