内容説明
混迷をきわめる国際政治に一石は投じられるか
ローマ教皇フランシスコが帰天し、アメリカ人初となる(267代)ローマ教皇が新たに選出された。フランシスコと同じく南米での活動が長く、前教皇の貧しい人々に寄り添う路線を引き継ぐと目されるレオ14世とはいかなる人物か?
映画『教皇選挙』のヒットに続き、フランシスコ葬儀の場でのトランプとゼレンスキーの会談、ヴァンス米副大統領を批判するレオ14世のXでの発言など、国際政治とのクロスにおいてもローマ教皇が再び注目を集めている。
学者から転身したベネディクト16世、世界の分断に橋をかけようと奮闘したフランシスコ、そして19世紀末のレオ13世の名を引き継ぐレオ14世――『聖書』に登場するイエスの使徒ペトロ以降、2000年以上連綿とバトンが受け継がれてきたローマ教皇とはいかなる存在か。混迷をきわめる国際政治に一石は投じられるのか。
トマス・アクィナスの研究者であり神学者・哲学者の著者が、フランシスコの遺産とともに綴る現代ローマ教皇論。
目次
第1章 SNS時代の教皇
第2章 フランシスコからレオ十四世へ
第3章 教皇フランシスコーー「橋を架ける」――
第4章 レオ十四世――「落ち着かない心」――
第5章 ベネディクト十六世――信仰・希望・愛――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
162
3教皇の言葉に触れて、キリスト教を理解する。ベネディクト16世:信仰を抱くものは希望によって救われる。フランシスコ:教皇たちの仕事は橋をつくることです。カトリックの伝統の基準や本質は変わらないが、成長し進化して伝統は動く。レオ14世:落ち着かない心、安らがない心に促されるままに、更なる高みと深みを目指して歩み続けていく。PopeによるHopeというこで。 2025/11/22
よっち
29
初めてアメリカ人として選出され、南米での活動が長く前教皇の路線を引き継ぐと目されるレオ14世とローマ教皇について神学者の著者が綴る1冊。フランシスコ葬儀の場でのトランプとゼレンスキーの会談、米副大統領を批判する発言など国際政治でも注目を集めるレオ14世とはいかなる人物か。学者から転身したベネディクト16世、世界の分断解消に奮闘したフランシスコも取り上げながら、教皇の役割が時代とともにどう変化してきたか浮き彫りにしていて、その複雑な選出背景や立場、今の時代のローマ教皇について考えるいいきっかけとなりました。2025/09/29
Francis
15
西洋中世哲学研究者の山本芳久先生の新著。山本先生はNHK文化センターのオンライン講座「使徒言行録を読む」「創世記を読む」で講師を務められましたが、先生の学識に裏打ちされた講義はとても素晴らしく、お陰で私のカトリックの信仰も深まりました。その山本先生がカトリック教会の信仰を前教皇フランシスコ、新教皇レオ14世、先生が最も尊敬する学者と言っても過言ではないと語るベネディクト16世の言葉を通して信仰を持たない一般の日本人にも分かるように語る。日本では先の教皇選挙について保守派、改革派の対立が(以下コメント)2025/08/23
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
14
▼カトリック信者であり、東京大学教授でもある著者は、これまでもキリスト教関連の著書を数多く出している▼この本は、日本の教皇論の中でも、新教皇について言及した最初の一冊になるだろう。先々代から現教皇までの3代を比較し、前の二人の教皇が共通して持っていた精神性や、独自に行われた取り組みなどを紹介している。これらを踏まえ、新教皇がどのようなビジョンを掲げているのかを予測している▼新教皇の名前の由来であるレオ13世についての解説も詳しい。▼本書の情報は、今後のカトリック教会の動向を追う上で大いに役立つと感じた。2025/09/20
pushuca
10
信者でない私には、今一つ入り込めない話題だった。2025/11/14
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