ノスタルジアは世界を滅ぼすのか―ある危険な感情の歴史

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ノスタルジアは世界を滅ぼすのか―ある危険な感情の歴史

  • ISBN:9784492224311

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内容説明

あなたの「懐かしい」は誰かの「武器」になる。
人類史上、最も危険で、最も癒され、最も儲かる「エモい」感情の正体。
政治やビジネスを動かし、消費を煽る、知られざる力とは。

本当に「昔は良かった」のか。
「希望は過去にしかない」のか。
時代を超えて誰もが持つ複雑かつ普遍的な感情の魅惑的な歴史とは。
過去5世紀にわたる影響力と、その両義性の謎を明らかにする。
BBC、ガーディアン、タイムズ、ザ・テレグラフ、VOGUE絶賛!

「あの頃は良かった」という、甘くも切ない感情「ノスタルジア」。
その根源は17世紀スイスの「望郷病」にあり、兵士や奴隷の死因となる病とされた。
しかし時代とともにその姿を変え、20世紀以降は消費者の購買意欲を刺激する「ノスタルジア産業」へと変貌。
さらに現代では、トランプ大統領のスローガン「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」に象徴されるように、政治家が有権者の心を掴むための戦略としても利用されている。
本書は、世の中を動かす「危険な感情」としてのノスタルジアの変遷を読み解き、その知られざる力と巧妙なメカニズムを解き明かす。

トランプが2016年に続き再び「アメリカを再び偉大な国に」というノスタルジックなスローガンを掲げて大統領選に勝利してしまったことなどから、ノスタルジアは保守的で後ろ向きな感情だと悪いイメージを持っている人のほうが多いのかもしれない。
だが、ノスタルジアは必ずしも有害な感情ではない。
17世紀では「死に至る病」とも考えられていたノスタルジア。しかし、脳科学が発達した現代では「古き良き時代」を思い出すときに抱く懐かしい気持ちにセラピー効果があることもわかってきた。過去のシンプルな日々への憧れとして、商品や「ミニマリズム」のようなコンセプト、さらには政策を売り込むために広告代理店や政治家がノスタルジアを利用することまで行われている。ノスタルジアは良くも悪くも社会的、政治的感情であり、社会的に有効に利用される反面、悪用されやすくもあり、時代の不安を反映するものであり続けている。本書では、ノスタルジアの複雑な感情の魅惑的な歴史が、過去5世紀にわたってどのように発展してきたかを鮮やかに探る。

【主要目次】
序 章 本当に「昔は良かった」のか?

第1章 「望郷の病」と乳搾り女と傭兵

第2章 死を招くノスタルジア

第3章 故郷喪失者のホームシック

第4章 ノスタルジアの心理学

第5章 ノスタルジアの波

第6章 感情を収益に変える方法

第7章 「古き良き時代」の創造

第8章 ノスタルジアが政治を動かす

第9章 ノスタルジアが癒やす脳と心

第10章 ノスタルジアの名誉回復

目次

序 章 本当に「昔は良かった」のか?
第1章 「望郷の病」と乳搾り女と傭兵
第2章 死を招くノスタルジア
第3章 故郷喪失者のホームシック
第4章 ノスタルジアの心理学
第5章 ノスタルジアの波
第6章 感情を収益に変える方法
第7章 「古き良き時代」の創造
第8章 ノスタルジアが政治を動かす
第9章 ノスタルジアが癒やす脳と心
第10章 ノスタルジアの名誉回復

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

33
新刊コーナーより。長々立ち読みし、「昔は〇〇だった」を言うようになった50代の自分の口から洩れてしまったのは、「2025年は辛い人生を乗り越えてきた自分たちに、郷愁という満足に浸ることも許してくれないのか」という呪いの言葉でした。ノスタルジアは最後のリゾートだと思う。でもそれすら操作され、金儲けの手段にされているとしたら…?Youtube漬けで人格が変わってしまった母を思う。白人至上主義の日々を懐かしむ白人おじいさん政治家。バブルの思い出にすがる日本の財界有識者。…呪いだよね。2025/12/11

みのくま

6
ノスタルジアは右派左派関わらず生じる人間的感情であり、ノスタルジア自体を批判嘲笑しても意味がない。問題はノスタルジアをいかに使ったかという点に注目すべきだと著者はいう。その通りだが、本書の大部分で描かれているノスタルジアの歴史には違和感を感じる。確かに時代ごとにノスタルジアは意味が変遷しつつ、郷愁という人類普遍の感情に根ざしているのはそうだろう。しかしそこには大きく近代の問題が立ち現れてはいないか。特に日本では夏目漱石や芥川龍之介といった文学のアプローチから、これらの問題に立ち向かった経緯を無視できない。2025/12/24

Y田

3
こんな切り口の歴史の捉え方もあるんだなと非常に興味深い気持ち。大きく分けて、「元の場所、家に帰りたい」という思いと「昔に戻りたい」という思いについて解説される。一番驚きで全く初めて知ったのは、「ノスタルジアって死ぬの!?」っていうこと😳 しかもよくあることだったと。いや、「ガチの絶望」で人って死ぬのは『夜と霧』にあったとおりだ。意図しない環境変化は思ってる以上にダメージがあるってことかも。心と身体に関する現代と昔の世界観の違いもとても興味深い。他にも、政治的利用や逆に癒しの効果など、面白く読む🧐2025/12/28

袖崎いたる

3
ノスタルジアは藤森照信が人類が定住を選んだころを起源にするだろうと指摘していたけれど、定住が自明になってった人類史が、17世紀に海外出兵やら移住が人々の生活に発生するにつけ、死に至る病ノスタルジアを発症。故郷の存在めちゃデカかったってことが判明。マジで死ぬやつは死ぬ。スイスのアルプスあたりから始まって世界中に蔓延したと説明されている。現代ではさながらCovid19のように軽症化してビジネスモデルにもなっており、さらにはある種の難病や老人の福祉に効果的だとの研究もある様子。人間であることの条件かもよと示唆す2025/11/14

ゼロ投資大学

3
「ノスタルジア」とは、特定の思い出や経験に対して抱く、懐かしさや憧れを抱く感情のことを指す。過去に対する想いや故郷に対する望郷の想いなど人々の感情に大きな影響を与える。2025/10/02

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