内容説明
日本は敗戦後、国の主体「国体」は天皇から米国に変わったのだろうか。80年間、戦争はなかったものの米国への従属性は深まった。誰が「悪者」なのか? 吉田か中曽根か、小泉か安倍か、それとも……今、日本の危機とは何か。昭和史研究の第一人者・保阪と気鋭の政治学者・白井が白熱討論を繰り広げる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
49
対談って、お二人の著作を多少とも読んでいないと文脈が取れないかも知れません。保阪氏のお話は新しく読む氏の経験談も多く、やっぱりすごいな。ただ、タイトルにもある通り、天皇、軍人、政治家を軸にした国家論です。キーワードは天皇制と対米従属性ですか。語られる通り、まともな主権も無いみっともない国ですが、その国が直接の戦争に関わらない80年をむかえた事、それは常に国論を二分する運動の中で維持されてきた事への視線も大事では。80年続いた「平和」の虚妄に賭ける、そんなこと思い読み終えました。(使ってみたかっただけ…)2025/11/02
へくとぱすかる
37
この8月15日ついに戦後は80年となった。というのが、そもそも正しいのか。本当は降伏文書にサインした9月2日なのでは? などなど、基本的かつ客観的な歴史上の事実をどうとらえるかで、そこに認識の違いもあれば立場の違いも見えてくる。読み進むごとに目からウロコ。歴史の常識を簡単に信じることのこわさを感じた。今の日本にとって身近な戦後という時代であっても、そこに「神話」のできる余地がある。戦前の事柄から議論は始まるが、「なめられている」という文中の言葉通り、つねにごまかされ続けている。それに気づかないことに反省。2025/09/15
ほんメモ(S.U.)
13
政治学者白井聡さんの著作は何冊か読んでいますが、こちらの本がダントツに読み応えがありました。昭和天皇の戦争責任について、戦後の政治家たち(吉田茂、中曽根康弘、小泉純一郎など)がアメリカへの隷属主義をどのように深めていったのかといった内容で、すごく面白かったです。白井さんは『今の若い人は先の大戦について認識していなさすぎる』と憤っているのに対し、対談のお相手である歴史学者の保坂さんの方は、『自分たちも日清日露戦争についてそこまで知らなかった、それが戦後数十年経つという事』とあっさりしていたのが印象的でした。2025/10/15
funuu
9
歴史と現代の橋渡し
保阪正康の昭和史に関する深い知識と、白井聡の鋭い政治学的視点が組み合わさることで、戦後日本の歩みを歴史的文脈と現代の課題の両面から捉え直すことができました。特に、対談形式は両者の意見のぶつかり合いや補完関係を通じて、複雑なテーマを立体的に理解する手助けとなります。歴史を単なる過去の出来事としてではなく、現代日本のアイデンティティや課題にどう繋がるかを考えさせられる点が印象的でした。
「日本は米国の属国だったのか」という問いは、戦後日本の国家像を考える上で避けられないテーマです2025/08/16
tokko
8
もうそろそろ「戦後」のことを見つめなおすべきだと思います。一体何が「保守」で「右派」なのか、日本にいるとよくわからなくなります。「保守」を名乗る首相が、トランプ大統領と笑顔で会談しているのを見ると、なんだかなぁと思います。そういう意味で、この本は「戦後」がどのように作られていったのか、理解しやすいです。2025/11/01




