内容説明
日本経済新聞(2025/06/28)、クーリエジャポン(2025/05/10)などでインタビューが相次ぐ注目の著者。
多くの民主主義国家で不平等が拡大し、強権政治が台頭し、リベラリズムが機能不全となっている。注目の政治学者が政治、経済、教育、テクノロジーといった様々な分野で見られる問題を検証し、失敗の原因と是正をさぐる。宇野重規(東京大学社会科学研究所教授)解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みき
45
名著。リベラリズムは成功したが故に失敗した。失敗するではなく失敗「した」。アメリカなどでも日本と同じく若者はリベラルに対して幻滅している様子。個人の欲望の解放を主張するが欲望のコントロールは主張しないという根源的な矛盾の解決に至らなかったというのは皮肉。リベラルを自称する人達の行動が目に余るが、こういうことだったのかと理解することができた。そりゃ規律とか自制とかを考えている人と軋轢を生まざるを得ないだろうと思う。政治的な立場は各個人で違えどもお互いの立場を理解するのに最良の1冊になり得る本だと思う。2026/02/24
南北
42
リベラリズムは「個人の自立」を目指して今日まで発展してきたが、結果として伝統文化や地域社会などの中間共同体を破壊し、国家と個人を直接結びつける社会を作り、個人は孤立するだけでなく、非人格化したとしている。アメリカの民主党政権が行ってきた不正等が今日少しずつ明らかになっているのを見ても著者の指摘には首肯すべき点が多い。政治に対する盲目的な追従を続けていては良き市民にはなり得ないが、さまざまな言説を常に批判的に受け入れるにはそれなりの教養と努力が必要だと感じた。2025/12/05
sayan
31
著者は、リベラリズムの破綻を主張する。その分析過程で、この政治哲学の限界を諸行無常とうたい、示した代替案はあまりにも意外だった。先に読了した「自由の命運(上・下)」の議論と重なり刺激的だ。伝統的な社会や慣習(=規範の檻)から解放されるも、その先は自然状態が待っており、自身の自由を守るため大きな機構(=社会契約)を必要とする。それは国の権威を強化し、結果的に自身の自由が規制・濫用される隙を与える、とする。例えば、難民申請は認定主体が「国」であり、自身の自由(安全保障)を自分で決めることができない、に通ずる。2020/05/06
よしたけ
16
リベラリズムが一度は成功したからこそ、失敗したと説く。本来リベラリズムは個人を伝統的な社会の組織の束縛から解放し、解放された個人は理性によって自由に物事を判断すべき筈が、国家・市場というより大きな機構に寄り掛かったに過ぎず、即ち脆弱・依存的になったという。背景にリベラルアーツの衰退を挙げる。本来、同学問を通じて自由を獲得する為の見識を付ける筈が、目先の実利を優先した学問を学び、その力を失った。目指すべきは「ポリスの生活」。人々が共に地域の問題を解決し、自制と自立の習慣を身に付ける、古き良き日への回帰だ。2020/07/28
あいかわ
14
リベラリズムは成功した、だからこそ失敗した。著者は第3のニューライトの重要人物であり、ヴァンス副大統領に思想的影響を与えている。いかにリベラリズムが積み上げられてきた共同体や文化を破壊しているか、それをリベラリズムで乗り越えようとするために負のスパイラルに陥っているかが繰り返し語られる。文章の端々からカトリック保守思想が見え隠れする。過去を単純に礼賛しすぎでは?と思いつつ、デニーンが指摘する現代社会の病は頷く所も多い。今の社会が続くとは皆もう思えなくなっている。その不安が色んな形で噴き出してきている。2026/01/31




