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内容説明
「身を挺して」「悲劇的な」人間になりたいという欲動を抱えながら、三島はどう自分の人生と向き合ったのか。その作品から読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
131
三島由紀夫には命を投げ出してもかまわない巨大な目的を求める「死の欲動」と称せる意志があり、その表現の手段として文学に進んだと主張する本書は文学論としては異端だ。三島が革命家たらんと望みながら、行動とは最も遠い世界である小説を書くという反革命的な営為に生きたとみなすのだから。しかし三島作品にしばしば登場する、生と幸福を拒み死と破滅へ向かって暴走する主人公像を説明できてしまうのも事実だ。だとすると、あの三島の最後は内に秘めた革命を噴出させる文学と、平凡な生活を求める実行動が一致するギリギリの結節点だったのか。2025/12/22
tamami
54
55年前のあの日、市ヶ谷駐屯地のバルコニーから演説する彼の姿は強烈な印象を齎し、ついには全集の購入に至ったものの、ほとんどが手つかずの状態であった。何かきっかけをと思っていた矢先に本書に巡り合う。主要作品の梗概と作者の生と死への強烈な思いを、「前意味論的欲動」と名付けられた内なる欲動を軸に解き明かしていく。主要作品の作者の生涯における意味づけを知るとともに、三島由紀夫という小説家が、戦前から戦後、いかに屹立した存在であったかを改めて知ることができた。語り口調の文体と、急所を射た引用が、理解を助けてくれる。2025/09/23
Kb54081271Kb
5
三島由紀夫の31作品をその本人の言動と共に書評する本。独特の美学に基づいた拡張高い文章を、この本を読んで懐かしく思い出した。三島といえばその最後の作品、「豊饒の海」のラストシーンが印象的だが、著者も力の入った書評で、興味深く読んだ。 2025/10/05
町営バス
3
前意味論的欲動を手がかりに三島由紀夫を読み解くエキサイティングな本。純粋経験的な死への欲動の噴出と抑制に対して、いったい自分の生とは何かを考えるきっかけとなる。2025/12/17
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
3
「敗戦国のテーブル」に象徴される「今までと世界の意味がガラッと変わってしまう瞬間」への感受性と「生と死の葛藤」をその軸として三島文学を時系列で論じる筆者の「豊饒の海論」が秀逸。「なぜ三島は自決したのか」「豊饒の海のラストは何だったのか」という核心がこれほど体系的に説得力を持って語られたことに目から鱗だった。「肥大化する自意識」を潰すことで「この世界」の意味を肯定しながら、スッと自分は消えていく。「実は三島はこの世界を最後に肯定していなくなったんだ」という解釈(豊饒の海論)は、個人的に感慨深いものがあった。2025/11/06




