内容説明
近代に入り、飛躍的な発展を遂げた物理学。自選論集の完結編にあたる本書では、熱力学や電磁気学などの18、19世紀における革新的な成果を跡づけつつ、古典力学から量子論・量子力学の誕生までの道筋をたどる。18世紀を代表する数学者オイラーをめぐる「Eulerの力学」、近代における宇宙像の転換を論じた「カントと太陽系の崩壊」、熱力学の形成と発展を概観する「力学と熱学」、量子力学の入門となる「量子論から量子力学へ 量子力学入門」、さらにはかつて予備校生に向けて語った相対性理論の基礎講義に大幅な加筆修正を施した「相対性理論入門講座」など、計12本の論考を収録。
目次
1.Eulerの力学/2.『解析力学』出版200年によせて/3.カントと太陽系の崩壊/4.幾何光学と変分法/5.力学と熱学/6.スコットランドとイングランド/7.ケプラー問題の初等的解法と離心ベクトルの保存について/8.アブラハム・パイスとニールス・ボーア/9.量子論から量子力学へ――量子力学入門/10.対応原理と相補性原理/11.55年目の量子力学演習/12.相対性理論入門講座/あとがき――物理学について,私がこれまで書いてきたもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
101
前著「物理学の誕生」はニュートンまで。本書は、オイラーを経て解析力学に至る道のりが示されたあと、いよいよ相対性理論・量子論が登場する。あの山本さんが、現代物理学をどんな風に解説されるのかと期待に胸膨らんで読む。相対性理論では「アインシュタインの共変性原理」に思いを寄せ、量子力学では「ラグランジアンを用いた経路積分によって確率振幅が求められること」に感動する山本さんの解説が印象に残る。古典力学や電磁気学から現代物理学への歴史を、連続性のある「流れ」として捉える科学史家の深い見識を見る思いがする。凄い人だ。2025/10/10
KAZOO
87
市井の物理学者の山本先生による表題の通り「物理学の発展」を紡がれたものです。先般出版された「物理学の誕生」がアリストテレスからニュートンまで解説されたものに対し、これはオイラーからカントまでについてです。ただ前著に比べて内容がかなり高度になっています。最後にはこの本の中心を占める「相対性理論入門講座」がありますがやはり文系のわたしにとってはかなりの手ごたえがありました。あとがきで「物理学について、私がこれまでに書いてきたもの」ということでこれまでの業績の総括をされています。2025/07/18
やいっち
53
読了というのはおこがましい。悲しいかな数式はほぼ全て理解不能な、理系のセンス皆無の吾輩なのである。が、学生時代から山本義隆は心の英雄だった。研究者としての道は早くに諦めたらしいが、もしかしたら優れた業績も残せていたかもしれない。それでも、紆余曲折はあっても物理学史などの研究に打ち込まれた。吾輩も理解は及ばないながらも、理系のヒーローとして遥か後方から追いかけてきた。2025/10/07
アドソ
13
『物理学の誕生』の後編ともいえる本作。前編にくらべると格段に難しく感じるが、それは扱うトピックが解析力学、熱学、量子力学、相対性理論と、実際に難度の高い内容だからだろう。妥協を許さない式展開と、ことばによる式の翻訳が、単なる知識の隙間を埋めるような見方を与えてくれる。著者は博士号取得を目前にして東大闘争で逮捕・投獄されながらも、60年もの歳月を在野の物理研究者として過ごした。この2冊組は著者の、未来の人へのメッセージともとれる。実際、予備校で著者の薫陶を受けて物理学者になった人も多いはずだし。2025/11/23
maghrib
9
「物理学の誕生」の続き、主に熱力学、量子力学、相対性理論について。相対性理論は予備校生向けの講義録で、光速度測定実験を解釈するために(アドホックに導入された)ローレンツ収縮を、アインシュタインの相対性理論で光速度不変と共変性原理から導出できること、また質量の速度依存性、質量とエネルギーの変換が導出されることなどが説明される。あとがきでは筆者の遍歴、物理大学院学生から、学生運動、逮捕を経て駿台予備校の講師となった過程が語られている。数式を手計算で追う読書が必要、かつその価値がある本と思う(が追えていない)。2026/04/05




