内容説明
自由貿易とグローバル化が終わりを告げ、トランプ関税、中国のレアアースなど、経済が武器化する時代が到来した。この危機を乗り切るために必要となるのが、地政学に経済安全保障の概念を取り入れた「地経学」の思考である。国際政治学の第一人者が、半導体、宇宙、資源など様々な視点から新たな時代の日本の指針を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
126
国家安全保障とは専ら軍隊や戦争、情報関係の話とされているが、戦いを支える経済力も不可欠。武器の開発や生産には多額のコストと高度な技術が必要な今日、経済や技術の強さは戦力に直結する。経済が武器化する現代を「地経学」の視点から分析し、国際政治を見る目を変えてくれる。地経学の考えを取り入れて国策とした中国に対し、自国だけでは経済衰退を止められないと判断したトランプ政権は半強制的に日欧に対米投資をさせて強いアメリカ復活を目指す。米中貿易問題とは単なる赤字の話ではなく、双方の未来を賭けた死闘であると認識させられる。2025/10/31
Shin
12
国家の生存を賭けた戦略として、経済が「武器」へと変貌を遂げる。半導体やエネルギーといった戦略資源をめぐり、いかなる力学が世界を動かしているのか。混沌とする国際情勢の背後にある打算と政治的力学の俯瞰的整理。今まさにホルムズ海峡で起こっているように、今や国家間の争いは供給網の choke pointを突く争いへと姿を変えてしまった。近代が信奉した自由貿易の理想は雲散霧消し、経済と安全保障が不可分となった新たなパラダイムに向き合わざるを得ない。2026/04/12
バルジ
8
地経学を現在のトピックを中心に論じ尽くす良書。地経学的なパワーは当然経済力であるが、その中でも「戦略的自律性」「戦略的不可欠性」によって「相互依存の罠」の軽減を図るのが世界的な潮流という。日本は衰退傾向にあるとはいえ、上記の自律性と不可欠性を兼ね備えた稀有な地経学的パワーを持った国である。アメリカ・中国という超大国の狭間でミドルパワー国家として地経学は不可欠な思考枠組みであろう。日本はTPPを立て直し、CPTPPとして結実させた。その成功を生かしてこれからもルールメイカーになれるかどうか。2026/02/15
Ra
7
第一人者が、半導体、IT・AI、宇宙、資源、経済制裁をテーマに"地政学×経済安全保障=地経学"について解説。「地経学を考える上で、その国が、国家という地理的に規定された空間において、どのような経済的資源を持っているのか、また、その資源を地経学的パワーとして、国際秩序の形成や変化に活用できているのか」という視点が重要であると説く。相互依存関係が張り巡らされるという意味でのグローバル社会が現前とあり、そこにおいて経済を"武器化"する動きが加速化する中、「戦略的自律性」及び「戦略的不可欠性」が重要になってくる。2025/11/01
おこげ
5
経済的資源に着目して国家が国際秩序の中でどう行動するかを考えるのが地経学。「経済」と「安全保障」が不可分の現代国際社会を読み解く新しい視座が得られ、半導体や資源に関するニュースの見方が変わると思う。「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」がキーコンセプト。地経学的パワーというと、サプライチェーンの遮断や金融制裁、関税、非関税障壁がイメージしやすいが、「ペンホルダー」として国際経済秩序形成を主導することで獲得できる地経学的パワーもあり、資源に恵まれない日本の進むべき方向として提示されているのが興味深い。2026/04/18
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