内容説明
横浜のアパートに住む鈴原咲玖良と娘の優璃が、同じアパートの住人・緑川に襲われ、母親は死亡、娘も負傷した。すぐ逮捕された緑川は死刑になりたかった、と供述。ニュースサイト記者・千弦は、犯人の動機に疑問を抱き、優璃と共に事件を取材する。不審な行動をとる緑川の弁護人や思惑を秘めた関係者の証言に振り廻される千弦たち。被害者と加害者が入れ替わりながら、新たな悲劇を生んでゆく。SNSの闇を抉る傑作長編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
166
情報があふれる現代において、情報を利用する前提の犯罪が発生してもおかしくない。「人を殺して死刑になりたかった」男が起こした母子殺傷事件を取材するニュースサイト記者が、単純に思われた犯行の裏にひそむ悪意と狂気に少しずつ迫っていくプロセスはページを繰るのも惜しい迫力だ。何より真犯人に利用され殺人に及んでしまう実行者と、フェイクニュースに踊らされ記者を害そうとする青年の肖像は、自分の頭で考えるのを放棄した日本人の精神的劣化を強烈に描き出す。動機の面で疑問は残るが、ネット時代に生きることの難しさを考えさせられる。2025/10/19
いつでも母さん
133
楽しみな天祢さんの新作は社会派ミステリー。調べ物がある時、ネットは確かにちょっと便利だよね。これはSNSに踊らされる私達に警鐘を鳴らす作品だった。顔が見えないから何を言ってもいいことにはならないはず。何を信じるか・・誘導されてはいないか?不安な思いがグラグラと私を揺さぶる。危ない危ない、いつの間にか扇動されて炎上の自覚もない・・なんてことになってはいないか?それすらも誰かの所為?物語の真相よりもネットの闇の恐ろしさで、めまいがしそうだ。その泥濘からはい出すには見ないことが一番良いのかな?誰か教えて。2025/09/09
えんちゃん
63
隣人による母子殺傷事件で生き残った女子高生と、若手女性ウェブ記者がバディを組み、事件の真相に迫るミステリ。SNSの情報を鵜呑みにして事件関係者や記者たちに罵詈雑言を吐くネット民たち・・・って最近そんな系のお話が多い気が。世相を反映ですね。登場人物たちの言動が腑に落ちない点が多々あるものの真相が気になり一気読み。真犯人も動機も理解できなかった。あと男性作家さんによくみられるのですが、このお話でも女性の言葉遣いに違和感がありました。2026/01/14
ごみごみ
59
「誰でもいいから殺して死刑になりたい」という殺人犯の供述を鵜呑みに出来ないニュースサイトの記者・千弦が、母親を殺された娘・優璃とともに事件の真相に迫る!心ない誹謗中傷やフェイク動画に翻弄され、個性的過ぎる登場人物たちの言動に悩まされ、たどり着いた先に明らかになったものとは?主人公も先輩女子も弁護士も、みんな頭が良すぎて、想像の斜め上を行く真相には驚いた。動機がちょっと弱くて納得いかないけど(笑) 人は自分に都合のいい情報だけを信じ、偏った見方をしてしまう・・そこは納得!2025/09/30
のりすけ
51
ネット社会の闇と人の心のあやふやさを描いた作品。登場人物全員がうさん臭くて表面的な所しか見せてないような気がしてしまった。テーマはとても良いのに人間描写で失敗しちゃった感。ヒロイン二人に共感できなかったし、動機にいたってはなんで?となってしまう。ただ、ネットの怖さはヒシヒシと伝わって来た。2025/11/03
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- 中にいる、おまえの中にいる。




