考える機械たち - 歴史、仕組み、倫理―そして、AIは意思をもつのか?

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考える機械たち - 歴史、仕組み、倫理―そして、AIは意思をもつのか?

  • 著者名:インガ・ストルムケ/羽根由/小林聡
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 誠文堂新光社(2025/08発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 720pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784416524404

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内容説明

松尾豊氏(東京大学大学院教授)推薦!

ブラーゲ賞ノンフィクション部門受賞。
AI(人工知能)の歴史、現在、未来の展望をわかりやすく解説する、ノルウェー発のサイエンス・ノンフィクションが上陸。

本文は3部構成となっており、まずは人工知能の歴史。次いで人工知能の最先端の現状と、人間が問題解決や意思決定まで機械に任せるとどうなるのかの倫理的、進化論的考察。最後に、創造性、意識、人工知能の未来の問題を論じます。どれも具体的な逸話が豊富で、かつコミカルな口調とテンポのよい解説は秀逸で、人工知能に詳しくない読者でも気軽に読むことができます。

第1部の歴史では、18世紀の「チェスをするトルコ人の人形」から始まり、アラン・チューリング、DeepBlue……そして教師あり・なし学習、ニューラルネットワーク、ChatGPTなどなど。損失関数設計の問題に登場するのは、超インテリジェントなお掃除ロボット。家をきれいにすることに勤しむロボットは、ある日こう気づくかもしれない。汚れの元凶はあなたであり、最適解とはあなたを排除することだと……。

第2部の人工知能の現状での逸話は、オスロ中央駅近くのピザチェーンにあったデジタル看板の話。メニューに載っている食べ物の写真を次々に映し出すだけでなく、なんと隠しカメラでそれを見ている人の表情を観察していました。その一方で、テスラ車はカメラで周囲の状況を撮影しています。この2例から著者は、「データを集めること」と「データの使用目的」は分けて考えるべきだと語ります。さまざまな事例を引き出しつつ、人工知能の現状と問題点を説明します。

第3部は、AIの倫理をどう考えるか。その結論は、規制はすべきだが、その過程は簡単でも単純でもない。このまま機械に意思決定を任せてしまうと、人間の意思決定能力が低下するとの意見があるが、これは進化論上、普遍的なこと。データを集める目的は何か、同意をどのように得るのか? 大衆、AI技術者、政治家のあいだで人工知能に対する考えは異なります。EUで進んでいる人工知能に関する法の整備についても論じます。

目次

はじめに

■第1部 こうして始まった
第1章 歴史を少しかいつまんで
世界で最も成功したいたずら
アルゴリズム
コンピュータ
ゲーデル、チューリング、フォン・ノイマン
「人工知能」の誕生
チェックメイト
論理思考のショウジョウバエ
宇宙最高のチェスプレーヤー
機械の時代

第2章 機械を知的にする試み
シンボリックAI
エキスパートシステム
イライザ効果
AIの冬と春
学習する機械
教師あり学習
花と決定木
サブシンボリックAI
ニューラルネットワークの歴史
どんなものでも学ぶ

第3章 データを求めて
真の分布
機械学習用データ
偽の分布
統計学者とジャーナリストのバイアス
データは高くつく
長く問題のあるしっぽ
自分でデータを見つける

■第2部 今日の人工知能
第4章 その目で見るまでは信じられないでしょうが
世界は行列だ
見たものをほぼ理解する機械
シンプルはたいてい間違っている
人間よりも多くのことを理解する機械
人工的直感とチェスの概念
メンタルヘルス
個人データの保護
説明を受ける権利

第5章 中に誰かいるの?
話し相手はAI
機械に宿る精神
ChatGPTとノルウェーの教師たちの不安
問題を語る
意識のチューリングテスト
創造する技術
ノイズから現実へ

第6章 私たちの人工知能ライフ
機械革命
倫理の世界
誰かが決めなければならない
電流戦争とAI法
AI開発の社会的ジレンマ
プライバシー保護の向かう先

第7章 機械学習モデルを攻撃する方法
善意ある賢い機械
機械の幻覚
3次元の芝刈り
次元の呪い
裏口
AIの冬と政治
自律とコントロール

■第3部 明日の人工知能
第8章 スーパーインテリジェンスをめぐる臆測
人工知能の創造性
スピーチと音響
データ利用
AI倫理と道徳的主体
汎用知能と超知能
機械の目標、人間の目標、メサ最適化
自分について考える脳

画像の出典
注釈

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

34
平易で親しみやすい文体が選ばれているが、もちろんナメてかかるわけにはいかない。AIといえばぼく自身も「人類の脅威になるのでは」「意識を持つ日は来るのだろうか」と(手垢のついた偏見・符牒を貼り付けて)考えてしまいがちだが、この本はそうしたAIの歴史を紐解きそこからどのように進歩を遂げてきたか、どのように失敗してきたかがそのからくりにいたるまでていねいに語られる。考えれば考えるほど「人類の脅威とはどういうことなのか」「そもそも意識とはなんだろう」といった基礎的な疑問に立ち返らざるを得ない。なかなか難儀な1冊だ2025/11/26

よっち

26
AI(人工知能)の歴史、最先端の現状と未来の展望をわかりやすく解説するサイエンス・ノンフィクション。18世紀のチェスをするトルコ人の人形から始まり、教師あり・なし学習、ニューラルネットワーク、ChatGPTにいたるまでの人工知能の歴史、様々な事例を引き出しつつ、その現状と問題点や、規制はすべきだが過程は簡単でも単純でもないAIの倫理を解説していて、具体的なエピソードでAIの創造性、意識、人工知能の未来の問題を論じながら今後の方向性を探る内容は、どういう方向に向かうのかも含めていろいろと考えさせられました。2025/07/07

くくの

13
AIの歴史と現状と課題、未来への希望。ふんわり理解した。AIの学習過程がブラックボックスだとか、完全に平等なAIを作ろうにも、学習した歴史には確実に差別が含まれてしまっているから、まずは人間が差別をなくしていかないといけないとか。2025/10/30

茶幸才斎

7
史上何度目かの隆盛期を迎えた人工知能研究に関し、億単位のノードが連なるニューラルネットワークによる機械学習モデルの仕組みと、開発・利用における技術的課題や倫理的または法的な懸念事項、脆弱性と悪意による攻撃リスク、人の自律性への影響などについて解説し、機械に意識が宿る可能性を含めて今後の展望を述べている本。我々は、一体何を生み出すつもりなのだろう。膨大なデータを与え、大量の電気を消費し、予測不能な学習特性を必死に調教して、そんな一種グロテスクなやり方で、果たして来世紀にドラえもんは無事誕生できるんだろうか。2025/10/16

やす

5
北欧の研究者が書いたAI本。AIの仕組みからAIとの共生まで。2025/10/15

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