内容説明
日本で最も大きな島、択捉島、二番目に大きな島、国後島。そこに色丹島、歯舞諸島の面積を合わせれば実に沖縄本島の4.2倍にもなる。
これらの島々は、北海道の目と鼻の先にある。最も近い歯舞群島の貝殻島までの距離は、北海道根室市の納沙布岬からわずか3.7kmだ。
この国境の島々にはかつて、人々が暮らしがあり、1万7000人もの人々が生活を営んでいた。
しかし日本がポツダム宣言を受諾し、降伏を表明してから約2週間後、ソ連はこの島々に侵攻、平穏だった島民の暮らしは一変する。
そこから人々の運命は大きく分かれていく。脱出して北海道にたどり着いた人、船の中で命を落とした人、あるいは現地に残り後にロシアに渡った人……
新聞記者として30年以上にわたって根室に住み、当時の記憶を持つ人を訪ね続けてきた記者による唯一無二の調査報道。
戦争が人々にもたらす負の影響を見据え、北方四島の解決策を見通す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テト
15
今から80年ほど昔に、北方四島で本当にあった出来事の正しい状況を証言を集めて、未来をみていこうとする強い意思を感じた。他の力によって人生が嫌でも変わってしまっていた事実に、このようなことを再び起こしてはいけないと感じる。証言の積み重ねであるが、このような証言をリアルに聞くことができる今はとても貴重な時期であることは、これから先、失われた記憶になってしまわないだろうかということを改めて思い起こされた。2026/04/30
都忘れ
4
高齢化の進む北方四島の元島民とその記憶を継ぐ家族に長年に渡り聞き取りをしてまとめ上げた労作。終戦後のソ連の理不尽な侵攻と、それに続く占領を経験したものならではのリアルな実情に、しばしば読み進むのを中断した。先祖伝来の土地を追われ荒れた海で命を落とす人々、貨物のようにもっこで釣り上げられ船に押し込められて強制退去した人々、様々な事情で残留を選ばざるを得なかった人々の数奇な運命など一つ一つが胸に迫ってきた。読みながらウクライナの侵攻が幾度も頭をよぎる。2025/09/25
chuji
3
久喜市立中央図書館の本。2025年8月初版。書き下ろし。北方四島について殆んど知らなかった事が多すぎる。2025/09/05
Humbaba
1
自分の人生だからと言って、自分自身の判断で決められることばかりではない。特に、時代によっては国同士の関係やその利益によって自分たちの生活そのものが様変わりしてしまうこともある。それに対していくら文句を言ったところで、相手の方が圧倒的に強く武力で制圧されれば何もできない。しかし、ずっと抑圧され続けるということはなく、その後どうするかについては自分の判断で少しだけかもしれないが変えられる部分は生まれる可能性もある。2026/04/27




