内容説明
考え続けよう。世界を知るために
小説に登場するのは、スノードームの中のオブジェたち。オブジェたちの間に流れた「滅亡の噂」について、話し合い、考え続ける、小さな世界のお話では。「考えるとは何か」「その先に何があるのか」。そんなことに興味がある、すべての人に読んで欲しい1冊です。
【著者】
香山 哲
漫画やコンピューターゲームやエッセイなどを制作。『香山哲のファウスト1』が2013年に第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作品に入選。『心のクウェート』が2017年にアングレーム国際漫画祭オルタナティブ部門にノミネート。不可思議移住エッセイマンガ『ベルリンうわの空』が2021年に『このマンガがすごい! 2021』(宝島社)オトコ編10位にランクイン、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員会推薦作品に入選するなど話題に。著書に『香山哲のプロジェクト発酵記』『レタイトナイト』など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
44
文章を読むのが苦手な人でも読めるような作りや書き方となっているためすごく読みやすかった!まず、挿し絵がかわいい!どこかノスタルジックで、そしてヨーロッパを感じさせてくれる!本書のテーマはおそらく「ゆるく考え続けよう」かなと思う。世界が滅びるのか。否か。スノードームを置いている店主はなにを考えているのか。子供たちは喧嘩をしてしまったのか。などなど。オブジェたちはスノードームの中から見える世界を観察し、考え続けている。ここで出てくるお話ってどこか私たちが普段考えていることに似ている。寓話っぽくてでも優しい。2025/09/16
brzbb
1
古いおもちゃを買い取って売ってるような小さな雑貨店に置かれたスノードームの中のオブジェたちが、スノードームのガラスに現れた傷をきっかけに、世界の終わりや雑貨店で起こる事件(といってもほとんどなにも起こらないといえば起こらない)について話し合う小説(挿絵もいっぱい)。スノードームは「コップの中の嵐」のコップや人間の頭蓋骨の中を象徴してるんだろう。物語というより考えること自体をテーマにした省察の雰囲気だけど、ラストはけっこう衝撃的で、あらためて最初から読むとすべては予言されていたような、小説としての強度も。2025/12/02
Adore
0
ベルリンうわの空シリーズが良かったので他の作品も触れ、今回は少しテイストが違った印象。 スノードームの中にある小さな世界での対話がメインで進むのだが、ある日彼らのスノードームにヒビが入っていることに気づきそれぞれの角度から終末を思考する。 ラース・フォン・トリアー『メランコリア』を想起させるが、映画とは違い緩やかな雰囲気で気軽に読むことができる。 人間はなんとなく老人になるまで生きていられると思うが病気や事故に遭う可能性も多少は含まれている訳でそうやって考えてると自分の考えに沿って生きることは偉大である
Manari
0
ほのぼのとして、せつなくて、穏やかで、不思議空間。でも驚きもあって(自分には怖さがあった)。ヨーロッパに住んでた著者の挿絵は、昔の西洋の風刺画?(よく知らないが)を彷彿させるような…ルイス・キャロルのアリスでのジョン・テニエルの挿絵、とか…。 人間では無い「もの」があれやこれや考える一見かわいい設定だけどジワジワとしたよく分からない強さに不安になったり、落ち着いたり、これに「スノードーム」が選ばれたのがいい、花形のおもちゃでは無く、スノードームってのが絶妙によい。 段落130~149が特にお気に入り箇所2025/08/30
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