河出文庫<br> H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

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河出文庫
H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

  • ISBN:9784309468198

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内容説明

小説・漫画・映像・ゲームへ大いなる影響を与え続ける架空の神話大系「クトゥルフ神話」。その創造者であるホラー作家ラヴクラフトの生涯と作品を、『服従』『滅ぼす』など数々の問題作を放つ《世界一センセーショナルな作家》ウエルベックが熱烈な偏愛で語る、衝撃のデビュー作!

◎スティーヴン・キング序文「ラヴクラフトの枕」収録
◎解説=柳下毅一郎

○本文より
“人は人生を愛しているときには読書はしない。それに、映画館にだってほとんど行かない。何と言われようとも、芸術の世界への入り口は多かれ少なかれ、人生に「少しばかりうんざりしている」人たちのために用意されているのである。“
“人生に倦み疲れた心にとって、ラヴクラフトを読むことが逆説的な慰めとなるのがなぜなのかはよくわかる。実際、どんな理由であれ人生のあらゆる様態にたいして本物の嫌悪を抱くにいたったすべての人に、ラヴクラフトを読むよう勧めることができる。”

○目次
序文 ラヴクラフトの枕(スティーヴン・キング)
はじめに
第一部 もう一つの世界
儀礼としての文学
第二部 攻撃の技術
晴れやかな自殺のように物語を始めよ
臆することなく人生に大いなる否(ノン)を宣告せよ
そのとき、大伽藍の偉容が見えるだろう
そしてあなたの五感、いわく言い難い錯乱のベクトルは
完全な狂気の図式を描きだすだろう
それは時間の名づけ難い構造のなかに迷い込むだろう
第三部 ホロコースト
反伝記
ニューヨークの衝撃
人種的憎悪
わたしたちはハワード・フィリップス・ラヴクラフトから魂を生贄にするすべをいかに学ぶことができるのか
世界と人生に抗って
読書案内
訳者あとがき
解説 人間嫌いの文学史(柳下毅一郎)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Shun

34
ミシェル・ウェルベックのデビュー作である本書は、偏愛するラブクラフト作品への批評集となっている。ウェルベックの小説からは連想しなかったが、著者のラブクラフト愛がひしひしと伝わるまさに熱烈と言える語り。批評ゆえに賛否が分かれそうな分析も目立ちますが、深淵な神話体系を全て一から創造した作家の生涯と境遇を読み解いていく過程はとても刺激に満ちていた。クトゥルー神話群のあの冒涜的な存在が元々人種差別的傾向を持っていた作家の性質に由来するとの言説には嫌悪を感じるものの、古の名状しがたい存在には不気味と心を惹かれる。2025/08/26

ぐうぐう

27
ラヴクラフトの生涯と作品を解読しているのだが、ウエルベックはあくまで作品から生涯を読み解こうとする。自身も小説家であるウエルベックらしいアプローチだ。「ラヴクラフトが生涯にわたって、控え目で抑制的な、そして教養あるジェントルマンの典型であった」とし、「それは最小限にまで切り詰められた人生であり、その活力のすべてを文学と夢とに転換したのである」と書き、こう付け加えるのを忘れない。「模範的な人生だ」と。キングによる序文も、同じ小説家としての敬愛に満ちている。(つづく)2025/09/11

塩崎ツトム

22
「クトゥルフ神話」が日本に受容される過程では漂白されたが、かの狂気とは、どんな理性を標ぼうする人が、電車の中で肌の色の違う人や知的障碍者が隣に座ったときに感じてしまう、あの理性の外にある名状しがたい、否、理論化してはいけない「嫌な(卑な)気持ち」であって、そこはラヴクラフト自身が抱えていた性格的困難さに根差している。宇宙的恐怖というが、彼にとっての天地とはプロヴィデンスの町であり、ニューヨークですら、彼にとっては得体のしれない「エイリアン」の徘徊する、世界の果てのルルイエだった。(つづく)2025/08/09

Porco

17
この本の存在を知った時、社会的問題作を数多く書いたM・ウェルベックが、悪夢のような世界を構築した怪奇作家であるHPLの評論を書いているということに驚いた。自分の中で線がどうしても繋がらない2人であるので気になって購入。ラブクラフト作はいくつか読んではいるので、クセの強いHPLの文体に関して「解剖所見のような精密さで恐怖対象を描く」というのは、確かに作品に散見する過剰な表現の一つとして見てしまうため、今まで気付けなかった観点なので凄く興味深い。 (1/2) 2025/09/26

ふるい

11
〈クトゥルフ神話〉の創設者であるラヴクラフトの、伝記的なエピソードや彼の小説の技術面について書かれている。HPLの原動力は人生と世界への憎悪であった。元々あった反動的なピューリタンの気質が、短い結婚生活時にニューヨークに滞在したことで異人種への嫌悪・恐怖が増幅された。小説において邪神の犠牲者となる人物像は、大抵アングロサクソンで教養があり控えめであり…と自身を投影した姿で描かれる。異人種(邪神)と交わることを恐れるHPLの心情が、マゾヒスティックな形で表現されている。2025/08/18

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