ちくま学芸文庫<br> 自己への物語論的接近 ――家族療法から社会学へ

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ちくま学芸文庫
自己への物語論的接近 ――家族療法から社会学へ

  • 著者名:浅野智彦【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2025/07発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512963

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内容説明

「自己」とはどのように形成され、どうすれば変えられるのだろうか。実はそれは、私たちが自分自身について「物語る」ことで産み出されているのだ。そして物語がエピソードの選択・配列を伴う限り、そこからはみ出してしまうものも存在する。自己物語はそうした「語り得ないもの」(例えばトラウマ的体験)を巧妙に隠しているのであり、この隠蔽を解除する方向へと物語を書き換えることで、異なった自己を産み出すことも可能になる──。物語論を治療に用いた家族療法(物語療法)から、社会学的自己論は何を学べるか。〈物語〉をキー概念に自己の生成・変容をあざやかに読みといた刺激的論考集。

目次

第一章 「自己」への物語論的接近/1 自己と物語/2 「私」は自己物語を通して産み出される/3 自己物語と語り得ないもの/4 これまでの社会学的自我論との対比/第二章 物語論の諸潮流/1 物語としての歴史──歴史哲学の視点/2 物語としての認識──心理学の視点/3 物語としてのイデオロギー──イデオロギー批判の視点/4 物語としての自己──臨床心理学の視点/5 物語の形態と機能/第三章 家族療法とその物語論的展開/1 家族療法の物語論的展開──システム論から物語論へ/2 物語療法の理論と技法/3 物語療法から社会学へ/4 物語療法の限界/第四章 社会学的自己論は物語療法に何を学ぶか/1 社会学的自己論の二つの認識/2 関係論的アプローチの困難/3 物語療法の視点/4 社会学的自己論を書き換える/第五章 構成主義から物語論へ/1 物語論は構成主義である? /2 構成主義とは何か/3 構成主義のパラドクス/4 物語論とパラドクス/第五章への補論 ガーゲンの自己物語論/1 ソシアル・コンストラクショニズムの概観/2 自己物語論/3 自己物語論の拡張/あとがき/自己物語論の現在──文庫版あとがきにかえて/文献/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばんだねいっぺい

22
とっても面白く読んだ。自己の変容は、他者との関係の変容ではなく、自己の物語の変容であること。支配的な物語に対して、自身のユニークな物語を確立すること。ただし、客観を著しく欠いたら、追記の某著者のような陥穽がある。2025/04/25

Ex libris 毒餃子

11
もともと『物語の哲学』を読んで、ナラティブの意味合いに興味があった。ナラティブの手法を社会学の射程に持ち込み、自己についての分析手法としたのは新発見だった。良書。2025/04/22

Go Extreme

2
物語論的自己アプローチ 語り得ないものによる物語阻害 自己物語の自己言及性 ユニークな結果としての物語つまずき 語り得ないものの隠蔽機能 家族のコミュニケーションシステム化 システム論からナラティブ転換 ドミナントストーリーへの抵抗結果 自己関係の循環的隠蔽 心的状態のメンタルトーク化 接続任意性としてのパンデモニウム 自己物語のパラドキシカル性 内外褶曲するナラティブ 言説媒介による自己構成 自己不変性という構成主義問題 語り得ないものの現実的力 トラウマの物語化抵抗 物語論の横領と偽2025/05/13

Rick‘s cafe

1
私について考える時、もしくは人に自分について話す時、今現在だけを切り取ることは難しい。過去の出来事について思い出し、並べ、そして語る。そうすると自分の来し方がわかり、今現在の立場がはっきりとする。とはいえ、歴史叙述がそうで在るように、自己について物語る時、望む望まざるに拘らず、どうしても過去の出来事の選出は非常に恣意的なものになってしまう。つまり自己について物語る時、常に同時に隠蔽されるものがある。自己のナラティブの袋小路にハマった時には、その隠されたものこそが、状況打開の端緒となりうるのだ。2025/06/15

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