内容説明
精神の病を捉えるにはどのような基準を持てばよいのか。本書は、多領域の知見を経ながらそのことを提示しようとした試みである。著者が方法論の基盤とするウォーコップの哲学を解説した後、言語をめぐる考察が展開される。そして、立体的で非対称性を持った対のカテゴリー『パターン』、体験距離から成り立つ「ファントム空間」、形式的・構造的・関係的要因を意味する「図式」という三つの概念を手がかりに、精神分裂病(統合失調症)の幾何学的構図が描かれる。独創的なファントム論を展開した著者の核心をなす作品。解説にかえて 内海健
目次
序にかえて/第I部 ウォーコップ註釈/イントロダクション/1 説明の性質/〔間奏1〕 グラディスおばさん──基準体験線──/2 生物学/〔間奏2〕 豹の視点──原投影、ホモ・イミタンス──/3 心理学/〔間奏3〕 I am Heathcliff!──汎我論、他者鏡、ファントム距離──/4 社会学/〔間奏4〕 ストレンジャー・ザン・パラダイス──戦争、倫理──/5 時間・空間・数/〔間奏5〕 われら何処より──宇宙、永遠──/6 感覚/〔間奏6〕 空駈ける精霊──因果、神話──/7 美学/〔間奏7〕 露の玉のきらめき/第II部 「言語」をめぐる考察/1 思想の趨勢/2 精神医学にとっての言語学/3 シニフィアンとシニフィエ検討/4 身体器官としての言語/5 無意識、体験象徴(Σ)/6 脱コード化へ? /第III部 精神病理学的事象/1 まえがき/2 『パターン』逆転/3 ファントム空間の図式/(1) 強度(そして距離)の空間/(2) a強度、b強度の空間/(3) a強度、a強度の空間(脳内転位)/(4) 「表象」について/(5) 「図式」について/4 分裂病のための「仮説」と第1公式Af-F/5 Af-Fの諸性格(続)──離人症を中心に/6 第2公式 AB -F──妄想知覚/7 意味の序列──妄想知覚(続)/8 第3公式E-eB──させられ体験、擬遊戯性/9 第4公式E- AB ──擬憑依/10 その他の分裂病症状/(1) 幻聴/(2) 思考障害/(3) 慢性様態の二類型/11 分裂病の辺縁領域/(1) 意識障害/(2) 神秘体験(ウィリアム・ジェームズ型)/(3) 強迫型意識/(4) 感情型意識/(5) パラノイア型意識/(6) 非現実感の諸意識と離人症/おわりに/文献/後記/解説にかえて──安永先生の生涯と思い出(内海健)




