内容説明
日本はなぜ無謀な戦争に突入し敗れたのか──ヨーロッパ諸国から同時期に文明国と認められた日米宿命の対立の根底には,中国問題があった.その端緒「対支二十一か条要求」から敗戦に至る軍人,政治家,思想家,ジャーナリストたちの言動を検討し,誤りを摘出する.多彩な登場人物が織成す壮大な思想のドラマは論争を呼ぶ.
目次
第一章 日米の仮想敵国
第二章 発端としての「対支二十一カ条」
第三章 アジアの帝国主義
第四章 「日米衝突」のシナリオ
第五章 満州事変というファシズム
第六章 世界戦争のプロローグ
第七章 「侵略」という認識
第八章 統帥権干犯の思想
第九章 軍部の独裁化をめぐって
第十章 精神的鎖国としての国体イデオロギー
第十一章 日本の「世界史」
第十二章 大東亜戦争の「開戦の詔勅」をめぐって
第十三章 時代思潮としての「死の哲学」
第十四章 外の力
補の章 戦犯とは何だったのか
あとがき
解説(竹内洋)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
31
国際的な視点や戦略眼が欠如し、夜郎自大になってしまったことが原因なのだろうと感じました。過去の失敗をどう教訓にし活かしていくのかが必要であり、現在も行動は異なっても根底は同じなのかもしれないと思いました。時代思潮としての死の哲学、戦犯とは何だったのかが面白かったです。2023/01/18
きいち
14
こんなにたくさんの「現実を冷静に見つめて行動する当事者たち」がいて、それでもなお何故、方向転換ができなかったのか?という次の疑問が湧きあがってくる。文明化=帝国主義の状況で「合理的」に突き進んできて、だからこそ結果を出していたにもかかわらず、その到達点が「生きて虜囚の辱めを受けず」の心性や「動機があっても目的がない戦争への突入」といった様々な非合理。集団感情のマネジメントとは、それほど困難なこと。でも、わかりやすい解決に短絡することは、この時も、逃げだったのだ。「今」を考える上でとても役立つ刺激的な本。2012/11/24
モリータ
8
学部の時に一度目を通したが、日本史の用語集が家になくてロンドン軍縮条約〜統帥権干犯の話がよくわからなかったので、その部分(八章)のみ読み直した。あとから考えれば軍部暴走や無理な作戦につながるような、ものすごくデリケートな導火線を政党が政権奪取の道具にしていた、という流れ。このあたり、やはり海軍軍令部の位置づけが勉強しないとピンとこない。そして中島知久平の立志伝もそう無邪気には読めない。2013/10/15
Hiroshi
7
日米両国は20世紀前後に帝国主義化することで文明国の仲間入りをした。そして第一次大戦後には五大国となった。日本の帝国主義化は日本近代の不可避な選択であった。日本は幕末に西欧の帝国主義理論により開国を強いられたのが第1の開国だ。第一次大戦後に生まれた国際協調主義という基準に対し帝国主義を基準に突き進み太平洋戦争で敗戦したのが第2の開国だ。冷戦後の新たな国際基準を見いだす20世紀末から21世紀初頭にかけてが第3の開国となる。本書では第2の開国を振り返って見ていく本。国家の行為に対しての様々な意見・批判を見る。2025/06/21
Ikuto Nagura
7
明治維新以降、列強に追いつき文明国になることに全力を投じ、第一次大戦時には五大国に数えられるまでになった日本。その過程である日清・日露戦争の開戦の詔勅では「国際法に則った戦い」を強調していたという。ところがその後の日本は、文明国のルールたる国際法や道徳から逸脱し破滅に向かう。石橋湛山や斎藤隆夫・重光葵らによる実利主義に基づく軍部批判には説得力があるのに、石原莞爾や北一輝らの科学的精神を欠いたファナティックな夢想の方に国民は乗ってしまった。いったいその原因は何だろう。私たちが再び過たないために考え続けねば。2016/02/09




