岩波現代文庫<br> 国民の天皇 - 戦後日本の民主主義と天皇制

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岩波現代文庫
国民の天皇 - 戦後日本の民主主義と天皇制

  • ISBN:9784006002145

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内容説明

万世一系の天皇から象徴天皇へ,戦前から戦後へと天皇像は著しく変化し,戦後60余年,皇室と国民の距離は甚だしく変容した.とりわけ現天皇即位後の20年,象徴としての天皇制のしなやかな適合力が国民の支持を獲得してきた現実をどう見るか.国民の皇室に対するまなざしはどこへ.戦後天皇制を総合的に考察した労作.

目次

第一章 「紀元前660年」から1945年までの天皇
近代君主としての天皇/第一次世界大戦後の天皇/天皇制と十五年戦争
第二章 立憲的象徴君主制
象徴天皇という伝統/天皇の新たな役割をどう見るか/叙勲制度の復活/象徴天皇制への異議/戦後体制の承認と憲法調査会/国民主権下での「立憲的象徴君主制」
第三章 いまも続く内奏―――戦後政治と昭和天皇
占領期と新憲法下の内奏/政治に関心を持ち続けた昭和天皇/占領終結後の時期/内奏はなぜ必要か
第四章 天皇の戦争責任と謝罪
昭和天皇の新しい服/浄化された戦争の記憶―日本とフランスの場合/象徴天皇制を承認する右派/天皇の謝罪と憲法
第五章 天皇制文化の復活と民族派の運動
建国記念日の制定運動/「2月11日」をめぐる論議/元号法制化に向けての運動/戦後民主体制と愛国心
第六章 「大衆天皇制」
昭和天皇は国民の天皇だったか 皇太子明仁の登場/皇室流「恋愛結婚」/大衆天皇制への反発/温かくファジーな平成の皇室
結び
岩波現代文庫版のためのエピローグ
解説 原武史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風に吹かれて

19
 2001年刊。03年に翻訳版刊。09年、本文庫のためのエピローグ追記。 政治家、憲法学者のみならず新聞雑誌から国民の声をひろうなど幅広く天皇をめぐる議論を紹介している。「天皇」の理解に欠かせない戦前の様々な議論も要約している。 人は時代や受けた教育に制約されて生きて行くわけだが、そのなかでも何らかの責任を負うのが公人だと思う。戦前戦中戦後を生きた昭和天皇にはどうしても戦争の影を見てしまっていたが、平成天皇になったとき、明治憲法の「万世一系」から、ようやく現憲法の「象徴」になったように思えた。 →2023/03/15

katoyann

13
戦後日本における天皇の社会的位置づけを様々な資料をもとに社会史的に分析している。雑駁に内容を述べると、➀象徴天皇制が成立して以降の天皇の政治関与とその是非についての論争、②元号制(紀元節)の復活に取り組んだ市民運動への賛否から見える天皇に対する意識、について触れられている。そして、最も大きな内容は、戦前も戦後も天皇は時の政治権力にただ利用される存在ではなく、むしろ重要な局面では積極的な役割を担ってきたという事実である。 ここから一つは、昭和天皇が戦争責任から免れえないという理路が導き出される。(続く)2021/03/30

mittsko

5
天皇制の歴史的研究、とくに敗戦後(主に95年まで)に焦点をあてており まさにボク自身の成り立ちを見せつけられるようだ 知らないこと、ぼんやりとしか分かってなかったことだらけで どこを読んでも(大げさでなく全頁が)勉強になる 日本近現代史としてこれを評価することは専門外のボクにはできないが(巻末の原武史「解説」は、本書を「最良の案内書」で「独創性を持ち合わせて」もいる、と評価する) すでにこのイデオロギー空間に巻き込まれきっている身としては 外部(日本国民国家の外)からの冷静な視点がなによりありがたい 良書2015/05/26

かに

4
敗戦から現在までの天皇について。敗戦により変化した天皇のあり方について、右派や左派の考えや多数の国民の考え、イメージなどから天皇のあり方を見ていく。建国記念日の制定や元号などの存続など戦後にそれらが話し合われてきた事実を知って面白かった。また、昭和天皇は戦後も政治への関与を希望してたことなど、知らなかったことを知れて非常に面白く、興味深かった。憲法に反しない天皇の活動や親しみやすい国民に近い天皇への変化などの経緯など非常に面白い。 2023/06/13

ポン

2
天皇制の廃止は国家主義の抑圧につながらない。なぜなら、保守派はまた別の象徴を作りだすに違いないからだ、という立場から戦後の大衆天皇制への移行に希望を見出し、天皇制の持続を容認する議論。そんな立場をとれなかった結果、今の日本の保守派の台頭があるのだ。2014/01/28

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