物語の「森」を抜けて

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物語の「森」を抜けて

  • ISBN:9784845921270

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内容説明

すべての物語を書きたい人/楽しみたい人に贈る、ストーリーテリングの「虎の巻」。
これまでの脚本術や創作術が教えてくれなかった物語の「なぜ」を探求し、解き明かす。

映画、ドラマ、演劇、小説──
時代を超えて息づく面白さの法則と理由をたどる、新しいストーリーの旅へ。

なぜ子どもの書く物語は、何世紀も昔から語られてきた物語形式をくり返すのでしょうか。
なぜ私たちは過去にあった物語の再発明を続け、それを新鮮で楽しいと感じるのでしょうか。

英国のドラマプロデューサーとして数々の人気作品の物語を仕掛けてきた著者ジョン・ヨークは、物語構造とは何かを探求する旅に出かけました。
これまで何百冊と書かれた脚本術や創作術の本を分析し、仕事をともにした脚本家全員に聞き取り調査を行い、無数の映画やドラマの物語を吟味し……やがてヨークはあらゆるストーリーテリングの真の原型にたどりつきました。それこそが、本書が教えてくれる「森への旅」です。

本書では、物語構造の歴史的な展開をたどり、古今の物語理論が提唱したパターンを徹底的に解明し、その神話のベールを取り去ります。そして、五幕構成を中心とした新しい構造の考え方を提案します。
脚本術の探求はストーリーテリングの歴史的、哲学的、科学的、心理的な旅へと広がりを見せ、私たちがなぜ物語を書き、楽しむのか、その秘密に迫っていきます。

物語構造はどのように機能するのか/主人公はなぜ能動的でなければならないのか/ナレーションはいかにドラマをだいなしにするか/ドラマの最終回直前で、たくさんの登場人物が死ぬのはなぜか/なぜフィクションに出てくる警官や医者は一匹狼ばかりなのか/人物描写がいかに物語の構造そのものに不可欠なものであるか……

「森への旅」に喩えられるロードマップを通じて、「物語とは何か」そして「人はなぜ物語るのか」を解き明かす、すべての創作者と読者のための「虎の巻」です。

<本書で取り上げるおもな物語理論・脚本術の提唱者・実践者>

アリストテレス(『詩学』)、テレンティウス(五つのステージ)、ラヨシュ・エグリ(ドラマティック・ライティング)、ウラジーミル・プロップ(『昔話の形態学』)、シド・フィールド(三幕構成)、デイヴィッド・マメット、ジョーゼフ・キャンベル(英雄の旅)、クリストファー・ボグラー(作家の旅)、クリストファー・ブッカー(七つの基本プロット)、フライターク(フライタークのピラミッド)、ロバート・マッキー(ストーリーテリング)、ブレイク・スナイダー(SAVE THE CATの法則)ほか

ストーリーテリングは、人間にとって必須の関心事であり、誰にとってもほとんど呼吸と同じぐらいに大切なことだ。焚き火を囲んで神話を語った時代から、ポスト・テレビ時代の物語の急拡大まで、物語は人々の人生を支配している。それを理解しようとすることは、われわれの務めと言ってもいい。ドラクロワは、知識への恐れを簡潔にこうつっぱねている。「職人になるためにはまず学ぶことだ。学んだからといって、天才になれなくなるということはない」。どの時代の物語においても、必ず登場してくるモチーフがひとつある──人に生命力を与える秘密を隠し持った、暗い森への旅だ。その森に何がひそんでいるか、本書で見つけていこうと思う。すべての物語はここから始まる……。
(本書「はじめに」より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐倉

9
3幕構成や5幕構成、行きて/帰るといった英語圏のストーリーテリング指南の鉄板ネタを解説していくいつものアレ……なのだが、多くの脚本家の間にある構造への不審感(著者自身も当初は懐疑的だったという)や享受の歴史を取り上げその上で構造の普遍性を述べていく。著者は英国のテレビドラマ制作に関わってきたディレクターであり長期シリーズがマンネリ化したり3年以上続かないなどと言う傾向もこの構造から解説していて面白かった。物語は人が変化を認識するための型であり、逃れられないもの…という主張はきっとその通りなんだろう。2025/02/14

Go Extreme

2
物語構造基本: 三幕構成 契機事件 ミッドポイント クライマックス 解決 プロット 設定 テーマ 欠如 成長 キャラクターと変化: 主人公 欠点 自己発見 内面葛藤 自己再構築 自立 友情 絆 観客共感 成長過程 物語の技法と演出: 見せる 語る ナレーション ビジュアル 表情 描写 語り手 テンポ 感情喚起 バランス 構造の拡張性と普遍性: フラクタル 構造相似 歴史的継承 普遍性 時間超越 ストーリーパターン 意味深化 多層構造 物語とメディア: キャラクター深化 感情的結びつき 帰還テーマ 物語の力2025/03/30

読書熊

2
物語の類型を網羅するとともに、なぜ物語が存在するのか、その本質を探究する2025/02/26

Rootport Blindwatchmaker

2
シド・フィールドもロバート・マッキーもブレイク・スナイダーも、みんな本質的には同じことを言ってないか?という脚本術オタクなら誰もが一度は感じた視点から、古典的な五幕構成に準じて物語構造を論じていく。ソーカル事件の以前に人文系の教育を受けた人にありがちな冗長で衒学的な文体で書かれているので、ちょっと読みにくい。また、ユング派の心理学(※現代では非科学的という評価になった)を過大評価している点にも、やや古さを感じた。とはいえ、p412に収録されている、既存の物語理論を統合した早見表だけでも一読の価値あり。2025/02/19

ハナさん*

1
2025年2月20日初版。市図。英国で長年ドラマ制作に関わった著者が、既存の物語構造論・作劇論・ストーリーテリング・脚本術を踏まえて、あらゆるジャンルの物語構造を、あらためて分析する。具体例は豊富だが、出てくる映画やドラマは当然、英米のものがほとんどである。それらを知らないと、話についてゆきづらい。本書は物語の構造を分析するだけでなく、「なぜストーリーに構造が存在するのか」と問うものであるはずだが。この問いに対する答えは、ラストの1節のみで、特に論証もなく語られるのみだ。その点では、やや期待外れだった。2025/04/06

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