内容説明
満洲国の実力者「二キ三スケ」の一角を占め、国務院総務長官を務めた大蔵官僚による率直な回顧録。
一九三二年の建国に際し、新たな通貨や租税制度をどう作ったか。
「満洲五カ年計画」をどのように実行したか――。
執政溥儀、高橋是清、東條英機、岸信介らの人物描写も興味深い、貴重な証言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
15
小説かと思ったら、実話だった。満州の内政がどうだったのか興味深い。内政と言っても外交や軍備や殖産興業の問題でもある。更に資金の問題もある。資金、主に財政と金融の問題でもある。満州国の実力者の一角を占めた、国務院総務長官を務めた大蔵官僚による率直な回顧録。1932年の満州国の建国に際して、新たな通貨や租税制度をどう作ったか。「満州五ヶ年計画」をどのように実行したか。大蔵官僚の主人公星野直樹を厚く指導・応援したのは有名な高橋是清であった。また執政溥儀や関東軍の関連も興味深い。支那への戦線の拡大は困難を生む。2025/11/14
若黎
11
読んでみたいなーと思っていたら、中公文庫から復刊された。出てくる人はお馴染みの人たちだが、みんな良い人になっているのは微妙な感じだった。 古海さんの本も復刊されないかしらん。2025/08/03
Shinya Fukuda
4
満洲国の行政を支えた能吏の証言。特に通貨制度の整備に関しては専門家ならではの見識が見られる。新しい制度を導入するのではなく既存の制度に出来るだけ手をつけず問題点のみを改善し利便性を最優先する。また軍隊の直ぐ後についていって銀行を接収し国幣を滞りなく流通させる等の手腕は面目躍如たる点と言える。鮎川義介の満州重工業に紙幅が結構割かれている。野口遵の水力発電事業についても。満州官吏とのエピソードも興味深い。ただ彼等からは「野蛮人」と言われていたそうだ。これは意外。ただ、それは外見であり能力は高く評価されていた。2026/02/14
レコスケ
2
満洲国の事務方トップだった官僚による回想録。著者は東大卒、大蔵省のエリート官僚だったが、職を辞して満洲国の財務官僚に転じた。同様に国内のエリートコースを捨てて、新天地に理想国家の建設を夢見た日本人は多かった。歴史的には、傀儡国家・事実上の植民地として語れる満洲国だが、ゼロから国づくりに殉じた人々は、様々な金融・財政政策や殖産興業策を通じて。王道楽土の建設を夢見ていた。タイトル通りそれば、見果てぬ夢に終わったが、満洲国で培った産業振興のノウハウは、戦後の復興の際に生かされることになった。2026/01/02
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