中公新書<br> 三位一体―父・子・聖霊をめぐるキリスト教の謎

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中公新書
三位一体―父・子・聖霊をめぐるキリスト教の謎

  • 著者名:土橋茂樹【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 中央公論新社(2025/07発売)
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  • ISBN:9784121028662

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内容説明

電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
キリスト教の三位一体とは、父なる神、子なるイエス、聖霊の三者は本質的に同一だとする説である。
ユダヤ教から分派したキリスト教が世界宗教へと発展を遂げる過程で、教会は神とイエスの関係の解釈に苦慮した。
教会内の様々な派閥がしのぎを削った異端論争を経て、四世紀後半に三位一体の教義は確立を見る。
初学者が誰しも躓く、この謎の多い教えについて、専門家が丹念に解説。キリスト教の根本思想に迫る。



■本書の目次

はじめに

序章 キリスト教の成り立ち

原初の信仰形態から一神教へ/ユダヤ教徒によるメシアの待望/民族宗教から世界宗教へ/新約聖書と使徒教父文書/キリスト教の公認から教義の確立へ

第一章 三位一体の起源

1 三位一体という考えの由来
史的イエスとの遭遇/ギリシア哲学の流入/旧約聖書における神の仲介者/再び、イエスとは何者か?

2 旧約と新約の多様な相関
イエスによる旧約の預言理解/終末論的な預言へ/予型論とは何か?/活喩法とは何か?/ペルソナ間で対話する神

第二章 キリストの神性をめぐる議論の始まり

1 ロゴス・キリスト論と「二つのロゴス」
フィロンの「創世記」解釈/「二つのロゴス」説/殉教者ユスティノスと二神論問題/「二つのロゴス」説の位置づけの変容

2 教義史にオリゲネスがもたらしたもの
オリゲネスとは何者か?/オリゲネスへの異端宣告の背景/「ヒュポスタシス」とは?/哲学概念「ウーシアー」の神学への転用/本質存在と実質存在/長く困難な議論

第三章 異端論争の只中へ

1 「アレイオス論争」とは何か?
二種類のオリゲネス主義者間の論争/三様のオリゲネス受容/アレイオス論争の発端/背景としてのメレティオス派分裂/論争の真の黒幕は誰?

2 ニカイア公会議とその後の動向
アレイオス派の言い分/ニカイア信条/「ホモウーシオス」とは?/ニカイア以降の新たな論争の布置/アンティオケイアのニカイア支持派

第四章 教義理解の深まり

1 バシレイオスの神理解
カッパドキア教父とは何者か/バシレイオスとエウノミオス/ウーシアーとヒュポスタシスの混用/「不生性」をめぐるエウノミオスの論点/神の不可知性に拠るバシレイオスの論駁/二つのエピノイア論/バシレイオスのウーシアー観の揺らぎ

2 神の本性から神の働きへ
プロティノスの影響の有無/若年の習作『霊について』/力動的ウーシアー観への展開

3 ナジアンゾスのグレゴリオス独自の論法
一神論を政治に喩えると/〈本性の言説〉と〈オイコノミアの言説〉/オイコノミアとは何か?

第五章 三位一体論教義の完成

1 ニュッサのグレゴリオスの三位一体理解
兄バシレイオスの志を継いで/なぜ三神ではなく一神なのか/「プロソーポン」概念の諸相/〈顔〉から〈識別相〉へ
/グレゴリオス独自の存在論/個体と固有名

2 聖霊論の展開
三位一体のエネルゲイア/キリスト論から聖霊論へ/〈聖霊〉をめぐる論争の布置/コンスタンティノポリス公会議/〈聖霊〉は世界創造に参与していたか?/〈聖霊〉の発出をめぐって/線状的序列から栄光と崇拝の循環へ

第六章 西方ラテン世界における展開

1 ニカイア前後の西方の動向
東西の論争状況の異なり/テルトゥリアヌスの貢献/ヒラリウスによる「同一本質」の再興

2 アウグスティヌスによる伝統継承と刷新
あくまでニカイア支持派として/実体カテゴリーと関係カテゴリー/本質の一性から働きの一性へ/〈聖霊〉の二つの発出/キリストの「受肉」とは何か/キリストの神性と人性をめぐって/ニカイアからカルケドンに至る道/自己の内奥への超越

終章 三位一体論の行方

聖像破壊運動と最後の公会議/教会会議のその後の経緯/教会大分裂と東西関係のその後/新たな展開に向けて

あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

99
本書は、古代において三位一体の教義が確立するまでの経緯が、異端との論争や政治的な思惑などを含め詳しく紹介されている。最初は子の位置づけ、次に精霊の位置づけが議論の対象になり、「一つの本質存在、三つの位格(ペルソナ)」という教義に到達した歴史がとてもよくわかった。私は、三位一体の起源をギリシャ哲学に見出すという自由主義神学の考え方の影響を受けてきたが、一方、カール・バルト氏が、「神の自律的な自己啓示」として三位一体論を再解釈した歴史にも遭遇してきた。著者には、現代における三位一体論を是非著してほしいと願う。2026/01/29

鐵太郎

24
ユダヤ教より生まれたキリスト教が決定的に異なるのは、「三位一体」という概念。ではそれは何なのか。父なる神と子なるキリストそして精霊を信仰の中枢に据えた事。では「三位一体」とはなにか。●三つの神ではなく神は一つ ●父は全能の神であり唯一のもの ●子は父より生まれ出た ●精霊は父なる神と子の力のみなもと ●三つは同一のものであり上下関係はない そして旧教新教にかかわらず、教徒は父と子と精霊の名において祈りを唱えます。──では、三位一体ってなにさ。これはそれを定義づけようとした歴史を解説した本。難しいよォ。2026/03/02

Francis

19
キリスト教の根本である「三位一体」の教説がどのように確立したかを追った入門書。クリスチャンの私にも難しかったです。キリスト教と本当は合わないギリシャ哲学の考え方が入り込んできて議論が複雑化したことがうかがえる。初期のキリスト教会の公会議は東方教会の聖職者・神学者が大半で西方教会はほとんどいなかった、と言うのが結構衝撃的でした。しかしながらここで書かれた神学議論があったればこそキリスト教は宗教として確かなものになったのはまちがいない。日本でも「三位一体」と言う言葉が安易に使われていますが、やめて欲しいです。2025/09/10

うきこ

6
キリスト教における三位一体教義をその変遷を辿りながら歴史を追う本。 おそらくこれでも入門書に近い本なのだろうが、難解な哲学用語、似たような人名が散見されるので、初学者には苦しい難易度。でも読めなくはない。 意外だったのは三位一体がキリスト教が東西に分裂する前に確立。しかも論争の舞台となったのがほぼ東方だという点。西方の関わりは薄いらしい。それでも何故西方で受容され、今でも主要な祈りとしてミサで唱えられているのか。その点について本書では触れられていないので、今度はそちらを勉強したい。2025/09/09

みさと

5
聖書に直接三位一体に関する言及はない。一体どのような経緯で教会の正統教義となったのか。初代教会時代、哲学用語のギリシア語で神学が議論されていた。古代哲学は人間を超越したものを議論していたが、近代哲学は人間の理性を議論するように。当然神の位置づけが変化。では現代は?ニカイア公会議で三位一体の教えが確立したと思っていたがそんな簡単なものではなかった。また、神のみ力である聖霊を通して神のみ業とキリストが証しされると思っていたが、それはだいぶ新しい考えであることも。当たり前だと思っていたことと意味づけを問い直す。2025/11/04

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