内容説明
法を逸脱し、他者や社会とのつながりを強烈に求めながらも自らそれを断ち切っていく人たち、そんな人生を本当は嫌っているのに変える術を持たない人たち、自分を認めることに極めて臆病な人たち――彼/彼女たちと関わる経験とその共有は、心理支援をもっと良質なものにしていける。
矯正領域における臨床経験から析出された「臨床犯罪心理学」を巡る5つの考察は、自傷と他害の関係、犯罪・非行行為と並走する思春期・発達・ジェンダーの問い、交差・輻輳する加害と被害、刑罰と教育の境界線、専門家の面接とその技法と、いずれも犯罪・非行臨床に欠くべからざる要を指し示す。さらに本編を補完する4つの臨床的随想は、初回面接から、面接における「期待」、面接者の無力感、そして面接の終結へと歩む孤独な臨床家たちの足許を照らしてゆく。
加害と被害の交差域で、変わろうとする人たちの傍らで、「加害者臨床」をラディカルに思考する比類なき臨床フィールドノート。
目次
序章 臨床家と、「書く」仕事
I-みずからを傷つけること――自傷・他害考
第1章 非行少年の自殺のリスク
第2章 非行と自傷
第3章 自傷する非行少年――その理解の枠組み、かかわり方のコツ
開かれた対話1|初回面接・対象者との出会い――交流分析の視点から
II-犯罪・非行の横顔――思春期・発達・ジェンダー
第1章 思春期のなやみ――人のものを盗んでしまう
第2章 神経発達症を考える――触法行為の背景として
第3章 ジェンダーと犯罪
開かれた対話2|「期待」考
III-責めと痛み――加害と被害の交差域
第1章 罰せられるべきはだれか――性虐待と犯罪・非行
第2章 被害感情をどう扱うか――虐待と加害者臨床
第3章 社会的孤立と怒り――復讐/成就
第4章 還らない生活――加害者家族
開かれた対話3|面接者の無力感と向き合う――スーパービジョンの視点から
IV-罪と罰と心――刑罰と教育の境界
第1章 倫理の視点から懲罰と教育の境界をどう考えるか――刑事施設における加害者教育
第2章 非行少年たちのその後――少年受刑者とこころの成長
第3章 犯罪・非行臨床における交流分析の活用
開かれた対話4|面接の終わり――犯罪・非行臨床の視点から
V-専門家のポジショナリティ――“会う”ことの基盤、そして技法
第1章 犯罪・非行臨床における面接
第2章 アセスメント面接におけるうそと真実
第3章 法と心理――臨床心理学と心理臨床、そして司法との葛藤
あとがき
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