最高裁長官 石田和外 日本的司法を定礎した天皇主義者

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最高裁長官 石田和外 日本的司法を定礎した天皇主義者

  • 著者名:西川伸一【著】
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 岩波書店(2025/07発売)
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  • ISBN:9784000617017

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内容説明

一九六九年,第五代最高裁長官に就任した石田和外.新憲法の精神に即したリベラルな法解釈や東大安田講堂事件へと続く学生運動の激化を「国難」と憂えた自民党保守派の意向だった.裁判・人事の両面で人権よりも秩序重視,今日に至る「日本的司法」の礎を築き,退官後は「日本会議」の前身を結成した天皇主義者の実像を描く評伝.

目次

はじめに
第一章 正義に徹する道 一九〇三―一九四五
一節 剣道に打ち込んだ青春時代
二節 裁判官を志望するまで
三節 「水中月影」と断じた帝人事件裁判
四節 予審判事と治安維持法
五節 平沼騏一郎暗殺未遂事件の裁判長として
第二章 「新しい」裁判所を創る 一九四五―一九六三
一節 司法官僚として頭角を現す
二節 六年五か月にも及んだ事務総局事務次長在任
三節 「生涯で最も充実感を覚えた」東京地裁所長時代
四節 「トラフグ」事務総長の国会対応
第三章 最高裁でかかわった重大事件 一九六三―一九七〇
一節 最高裁判事として決着をつけた八海事件
二節 「司法の危機」時代のはじまり
三節 「激流に立つ巌のごとくに」と誓って最高裁長官へ
四節 「平賀書簡」事件に際会して
五節 転機となった「飯守所見」
第四章 裁判官に対する国民の信頼 一九七〇―一九七三
一節 「公正らしさ」論と思想審査 ブルーパージの発動(Ⅰ)
二節 宮本判事補再任拒否事件 ブルーパージの発動(Ⅱ)
三節 阪口修習生罷免事件 ブルーパージの発動(Ⅲ)
四節 青い影に隠れた「功績」
五節 保守化する最高裁の法廷構成
第五章 英 霊 一九七三―一九七九
一節 保守派の広告塔として
二節 「剣道の達人」の頂点に立つ
三節 大猷院殿玄武和外大居士
おわりに
参考資料
あとがき
石田和外年譜
人名索引
事項キーワード

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

124
同時代の米最高裁の内幕を描く『ブレザレン』を思い出す。最高裁のリベラル化を憂慮した権力者が自らの意に沿う人物を長官として司法判断の保守化を狙う点は同じだが、最高裁が判事の人事権を握る日本では大きく影響した。「公正らしさ」を旗印にリベラル派の若手判事の再任を拒否し、事実上の思想調査で自由な判断を萎縮させ、保守派の最高裁判事登用を進めた。一方で公害被害者救済に道を開き、尊属殺重罰規定を違憲とするなど時代に沿った判決も出している。副題にあるような極右ではなく、秩序第一という確固たる信念を貫いた司法官僚だったか。2025/08/07

フクロウ

4
第五代最高裁長官・石田和外の評伝。岩波にしては誤字脱字が多い。長沼ナイキの平賀書簡事件における福島重雄判事もまた青法協だったのか。石田による強権的ブルーパージの伏線は、すでに長沼ナイキのときからあったというのは個人的には新たな発見だった。戦前の平沼騏一郎の帝人事件から戦後は津田実・法務事務次官と、対検察・対政府においては司法権の組織としての独立性を維持しつつ、いわばそれとバーターに司法権内部における裁判官の独立性は最高裁判所事務総局による取り締まりにより守られない今日の日本の裁判所が作り上げられた。2025/08/14

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