岩波新書<br> 日本軍慰安婦

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岩波新書
日本軍慰安婦

  • 著者名:吉見義明【著】
  • 価格 ¥1,232(本体¥1,120)
  • 岩波書店(2025/07発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004320722

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内容説明

一九九一年の金学順さんの告発に衝撃をうけた著者は関係文書を丹念に収集分析し,九五年刊行の『従軍慰安婦』で「慰安婦制度」の主体が軍であったことを明らかにした.しかし「軍慰安婦」たちの苦難を否定する声は今も後を絶たない.前著刊行後明らかになった多数の資料や証言も用い,あらためてその全体像と実態を描き出す.

目次

はじめに
Ⅰ 軍慰安所の最初の設置――満洲事変期
1 軍慰安所と軍慰安婦
2 最初の軍慰安所と陸軍の前史
3 満洲と熱河省の場合
Ⅱ 軍慰安所の大量設置――日中全面戦争期
1 華中での設置
2 華北での設置
3 華南での大量設置
4 満洲での設置
5 陸海軍中央と国家の主導
Ⅲ 東南アジア・太平洋地域への拡大――アジア太平洋戦争期
1 東南アジア・太平洋地域での設置
2 陸軍省・海軍省の主導
3 日本軍はなぜ軍慰安所を必要としたか
4 軍慰安婦の人数・出身地と様々な慰安所
Ⅳ 女性たちはどのように集められたか
1 日本から
2 朝鮮から
3 台湾から
4 中国で
5 東南アジア・太平洋地域で
Ⅴ 軍慰安婦が置かれた状態
1 管理・統制の実態
2 軍慰安婦の日常はどのようなものだったか
3 軍慰安婦の抵抗と主体性
Ⅵ 軍慰安所と兵士と日本社会
1 軍慰安所の利用
2 軍慰安所の拒否
3 性買売と日本社会
Ⅶ 日本軍と日本政府はどのような法律に違反したか
1 軍慰安婦をめぐる戦争犯罪裁判
2 日本はどのような法律に違反したか
Ⅷ 敗戦直前および敗戦後の状況
1 ソ連軍用慰安所の設置
2 連合国軍用慰安所の設置
3 軍隊に慰安所はつきものか――各国軍隊の状況
4 軍慰安婦の戦後
おわりに――軍慰安婦賠償運動の歴史と残された課題
1 問題の浮上からアジア女性基金の活動まで
2 世界人権会議から日韓合意まで
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

20
施策面からのマクロな視点と個々人の体験談によるミクロの視点から、アジア・太平洋地域での日本軍の慰安婦・慰安所制度の全容を描き出す試み。近代日本の遊郭から出発して慰安所・慰安婦を歴史的に位置づけ、慰安婦が性奴隷にほかならないこと、現地での将兵による性的暴行を減らすというのがきな目的だったが、その効果はなかったどころか兵士の猟奇性を高めすらしたこと、日本側の法的責任は免れないこと、そして前著『従軍慰安婦』出版以降の政治的動向をまとめている。前著とともに軍慰安婦について学ぶうえでの最初の1冊となる本である。2025/08/16

どら猫さとっち

16
本書はちょうど30年前に刊行したものを、後に明らかになった数多の資料や証言を用いて、新たに決定版として刊行された。慰安婦問題は、日本の戦争を語る上で、なくてはならないことのひとつである。しかし南京事件などと同様に、なかったということにされて、大きな問題になっている。戦後80年、今改めて読んで考えたい。女性たちの人生を、戦争が踏みにじっていくのを感じて欲しい。2025/09/11

崩紫サロメ

14
日本軍の史料も含め、様々な角度から慰安婦問題を検証する。軍関係の史料によれば、占領地での強姦の横行、性病の蔓延に軍側でも頭を痛め、軍が主導、あるいは黙認して慰安所を設置したことが記される。しかしこれは性暴力公認のシステムであり、軍人の「止み難き性的欲求」を煽り立てることになってしまった。敗戦後ではなく、戦争中に陸軍軍医部や法務部からこれらのことを(勿論、現代とは違った文脈で)問題視していたことは知られるべきであろう。新書でありながら出典が明記され、今挙げた点だけでなく、様々な角度から読むことができる。2025/08/31

かんがく

9
1次資料が多く引用されていて、その内容のあまりの残酷さから読み進めるのが辛かった。背景にある近代日本の差別意識や軍隊のもつホモソーシャル性などは現代社会の問題にも通ずる。2025/08/31

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