内容説明
かつて囲碁の「名人」は、最強の棋士ただ一人に与えられる終身制の称号だった。昭和十三年、最後の終身名人にして「不敗の名人」と呼ばれた本因坊秀哉は、自身の「引退碁」として、若手の大竹七段から挑戦を受ける。秀哉名人は六十五歳、病を押しての対局は半年に及んだ。緊迫した応酬が続く闘いに、罠を仕掛けたのは……。命を削って碁を打ち続ける、痩躯の老名人の姿を描いた珠玉の名作。(解説・山本健吉、新井素子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
88
囲碁の名人、本因坊秀哉の引退碁の観戦を、小説家・解説者、双方の立場から描いた作品。そして、対戦者以外は全て『実名』で描き、それはルポ感をプラスで感じさせる。そして、『紅葉館』・『聖路加病院』・『箱根』・『伊豆』とそれぞれの場所での起こった事が、対局・生涯を送る事へ、緊迫感として更にプラスされている。しかし、意外と表現は短く簡潔。そして、川端要素である、読み易さ、鮮やかさ。伊豆や箱根はやはり、川端が良く知っている場所なんだと思う。2026/06/05
優希
43
囲碁のことはよく分かりませんが、緊迫した空気を感じました。自身の「引退碁」として受けた挑戦は病を押しての対局というのが覚悟すら見えます。命を削ってまで囲碁を打つ老人を描いた名作だと思いました。囲碁のことを知っていれば、この物語をより深く読めたのでしょうね。そこが残念です。 2025/10/30
はなん
24
新井素子解説、ということで。)囲碁の世界。知ってはいても打つ訳ではなく、正直、その対局場面はなかなか厳しい読書になった。が、囲碁という世界に命懸けで立ち向かう姿には某マンガも手助けになってなんとなく、分かる。あくまでもなんとなく、なのだけれど。そして素子さんの解説。その最後。20代、40代、70代、そしてその先でももしかしたら同じ作品を読める。受け止める感覚はそれぞれ変わる。そこにとてもこころが震える。時代を超えて。自分もまた時代を超えていく。ああ、読書っていいな。そう、思う。2022/12/31
たぬ
22
☆3.5 ルールを知らないため対局の具体的な中身についてはさっぱりわからず。なので65歳の本因坊秀哉を取り巻く人々との人間模様を焦点に読んだ。一日数時間打つ→数日休む→また数時間打つ、しかも病気療養を挟んだために半年にも及ぶ対局だったとは。囲碁というのは勝敗が決まるまで1、2時間の食事休憩はあっても基本ノンストップで進行するものと思っていたし、「封じ手」を二重三重にもして金庫に入れておくことも初めて知った。なんともまあ気力体力を消耗するものだ。2025/05/04
ソーダポップ
20
家元としては最後の「本因坊」であった本因坊秀哉の引退碁の観戦記を元にした小説である。対局相手の「大竹七段」としている他は、ほぼ実名で書かれているので、小説という印象はなく、むしろルポルタージュに近い。引退碁が打たれてから約85年。当時を知る人はほとんどいなくなってしまっただろう。この本がなければ、当時の対局の様子を窺い知ることは非常に難しい。貴重な記録であり、そして、魅力的な小説だ。囲碁好きだけでなく、囲碁に親しみのない人が読んでも、何か心が動かされる、そんな部分がある小説だった。2025/11/16
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