内容説明
尾形信吾、六十二歳。近頃は物忘れや体力の低下により、迫りくる老いをひしひしと感じている。そんな信吾の心の支えは、一緒に暮らす息子の嫁、菊子だった。優しい菊子は、信吾がかつて恋をした女性によく似ていた、だが、息子は外に女がおり、さらに嫁に行った娘は二人の孫を連れ実家に帰ってきて……。家族のありようを父親の視点から描き、「戦後日本文学の最高峰」と評された傑作長編。(解説・山本健吉、辻原登)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
62
再読。会話も、それぞれの文章も短く、意味が明瞭で、判り易いことを改めて認識。ということで、読み易い。信吾はどうやら、会社の偉い人で、その息子、修一も同じ会社の役員か? 会社の業務内容、在り様の記述がなく、もっぱら家族間の人間関係、それぞれの気持ちの描写が中心である。会社は大丈夫か、と余計な心配をしてしまう。 2025/04/21
梅崎 幸吉
10
作者の透明で深い悲哀、孤独感が空間に溶け入りただよふ。 芭蕉の「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句が浮かぶ。
Hal
6
読了後数日たったものの、感想がまとまらない。とりあえず覚書として登録。 当時、鎌倉から東京までの通勤って何時間かかっていたんだろうかと、どうでもいいことは書けるんだが。。2023/08/22
イノシシ
2
作品の細部にまで川端康成の思想が宿っていて、おもしろく読むことができた。 夫婦の関係の在り方、親子関係の在り方、老いてからの人生の振り返りなど、様々なことがこの一冊に凝縮され、なおかつそれらが精緻に描かれているところがすごかった。 さすが川端康成と思った。2025/05/28
らら
2
https://note.com/enjoyrarara/n/na3290470e9672024/06/22




