内容説明
交戦下において軍律違反者を処断する軍の審判機関、軍律法廷。旧日本軍は先の大戦において、多数の敵国兵や現地住民をこの軍律法廷にかけて死罰などに処したが、その関連資料はことごとく処分され、いまだ全容は解明されていない。本書では、名古屋大空襲の際に捕縛した米兵11人を軍律法廷にかけて斬首した一件をめぐる戦犯裁判、「イトウ・ケース」に注目し、その記録から軍律法廷の実相に迫っていく。それは非道な殺害行為を正当化する建前に過ぎなかったのか、それとも戦時の無法を食い止める役割を果たしていたのか。史料を丹念に読み解き、その知られざる実態を明らかにする。解説 新井京
目次
はしがき/第一部 軍律法廷とはなにか/一 軍律と軍律法廷/1 太平洋戦争下の軍律/2 太平洋戦争下の軍律法廷/二 イトウ・ケースの発端/1 無差別爆撃/2 名古屋空襲で捕らえられた十一名/三 なぜ戦犯裁判にかけられたか/1 軍律法廷とはそういうもの/2 審判は不当だったか/3 認められた審判もある/四 外国の軍律法廷/1 軍事委員会/2 戦争犯罪への対応/五 軍律法廷と自衛隊/第二部 名古屋空襲の軍律審判/一 無差別爆撃は戦争犯罪/1 ドーリットル空襲/2 空襲軍律の制定/3 第十三方面軍軍律会議と軍法会議/二 捜査機関としての検察官/1 捜査の始まり/まず憲兵が調べる/第一総軍の軍律に照らす/2 検察官職の資格/陸軍では法務部将校/伊藤が検察官に命ぜられる/3 取り調べ/録事の立ち会い/故意の無差別爆撃か/無差別爆撃の事実/審判にかけるのが妥当/軍中央への伺い/三 処罰を求める/1 陸軍大臣の指示/伺い書/死罰も可/必ずしも守られなかった/2 審判の請求/審判請求機関としての検察官/審判に付す/3 軍律と軍罰/規定に際して/だれが審判されるか/対象となる行為/どんな罰をうけるか/四 審判の開始/1 列席者/七月十一日に始まった/長官の命令/2 審判官/審判官は三名/兵科将校と法務部将校/審判官選任の実際/3 捕獲搭乗員の入廷/警査が連行/通訳/五 全員に死罰/1 すすむ審理/検察官の朗読/審判する側が主導/2 審判は終わった/論告/軍罰の言い渡し/3 軍律法廷の記録/記録の保管/焼却された記録/六 軍罰の執行/1 執行命令が出る/執行の免除と変更/軍刀を使用/すみやかに実施/2 準備はできた/執行の指揮/執行場の準備/3 場所は小幡原射撃場/自分の墓穴の前で/軍医はいなかった/戦後に火葬/あとがき/解説 敵兵を裁くことのジレンマ(新井京)/おもな引用・参考文献/参考史料/参考図表/索引
感想・レビュー
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CTC
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