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内容説明
福島県のある町で、「企業版ふるさと納税」を財源に不可解な事業が始まろうとしていた。著者の取材から浮かび上がったのは、過疎にあえぐ小さな自治体に近づき公金を食い物にする「過疎ビジネス」と、地域の重要施策を企業に丸投げし、問題が発生すると責任逃れに終始する「限界役場」の実態だった。福島県国見町、宮城県亘理町、北海道むかわ町などへの取材をもとに、著者は「地方創生」の現実を突きつけていく。本書は「新聞労連ジャーナリズム大賞」受賞の河北新報の調査報道をもとに、さらなる追加取材によって新たに構成、「コンサル栄えて、国滅ぶ」実態を暴く。
目次
プロローグ
第1章 疑惑の救急車
第2章 集中報道の舞台裏
第3章 録音データの衝撃
第4章 創生しない地方
第5章 雑魚と呼ばれた議員たち
第6章 官民連携の落とし穴
第7章 自治の行方
エピローグ
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
130
河北新報の記者が福島県北部の平成大合併に参加しなかった自治体を舞台にして起こった、地方財政を食い物にするコンサル会社の暗躍を告発したルポ。「人の金で儲ける」体質のコンサル会社が、高齢化で地方議会も無選挙な自治体を手玉に取る様子、そして悪びれることなく逃げを打つ首長。おまけに公益通報に対し懲戒処分まで出す。全貌が完全に明らかになっているわけではない(特に贈収賄については不明)が、最後にコンサル側から「雑魚」と呼ばれた議会が百条委員会をつくり立ち向かっていく。国政にも言えるが、政治家は誰の方を向いているのか。2025/08/28
岡部敬史/おかべたかし
92
今年のマイベスト本。著者が属する「河北新報」の名前の由来は、明治時代に「白河以北一山百文」(白河より北は価値がない)と東北地方が蔑まれていた風潮に対する反骨なんですね。そんな反骨の記者が「企業版ふるさと納税」を使った「マネーロンダリング」の証拠を集め、この事業を認めた自治体トップ、企業を追い詰めていくという痛快な話。「無視されるようなちっちゃい自治体がいいんですよ」とか「(地方議員は)雑魚だから」とか、ドラマのような悪台詞も実に効果的。まだ言論活動はこんなに頑張れるんだと思わせてくれる名著です。2025/12/29
tetsubun1000mg
78
帯が無かったので最近の過疎対策ビジネスの取材と思って読み始めるが、全然違う内容に驚いた。 福島県の国見町が高規格救急車を12台注文して他の自治体にリースするというスキームに疑問を持った「河北新報」記者執念の取材ドキュメント。 全国紙でも囲み記事で紹介された記憶が有るのだが真相はかなり悪質な仕組みでした。 企業版ふるさと納税という施策を使って、市に寄付して子会社に救急車を購入するようにしてリース料を得るという。 新聞報道後にコンサル会社社長も退任して、町長も選挙で負けるという結果だったという実話でした。2025/10/05
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
71
(2025-110)「企業版ふるさと納税制度」を使い、企業と自治体、それを仲立ちするコンサルが一体となって行った地方創生事業。その不可解な利益還流システムを取材した河北新報。小さな自治体を狙い打ちして公金を吸い上げる「過疎ビジネス」の実態。地方自治体の人手不足、知識不足に目を付けた行政機能のアウトソーシングだが、その実態は自治体の乗っ取り。元となった記事は「新聞労連ジャーナリズム大賞」を受賞している。新聞は「オワコン」とも言われているが、こうした丁寧な取材はやはり新聞でしかできないだろう。★★★★2025/08/02
海燕
61
ある地方創生コンサルが、某自治体に入り込み、企業版ふるさと納税を財源とした官民連携事業の受託を装って寄付金を還流させ、利益を得ていく実態を丹念な取材で明らかにした労作。著者は河北新報の記者で、記事が基になっている。地方創生に寄せた企画力と言葉巧みな説明で、過疎地域の自治体に営業をかける。文字どおり、儲けるために手段は選ばない。コンサル曰く「無視されるちっちゃい自治体がいい」。規模の小さな市町村では職員が少なく、議会含めて組織のガバナンスが利かないこともある。役所の責任も大。地域の誰も幸せにならない構図だ。2025/09/13




