内容説明
幾千年の時を超えて、あなたと恋をしている奇跡。
生き死にの極限に迫る、著者渾身の恋愛小説。
ひと月前に兄を亡くして天涯孤独の身となったわか子は、週に三日、空き家管理の仕事をすることになった。趣味の和歌を思い浮かべながら、何かが死んでいるような腐敗臭のする家で掃除をしていると、「なびかじな……」という藤原定家の和歌がきっかけとなって不意に景色が反転し、気を失ってしまう。目が覚めると、空き家の持ち主の河原さんと見たことのない青年がわか子を心配そうに見下ろしていた。それは時間のなかを旅してきたような、不思議な感覚で――。
雲=クラウド=記憶の保存庫
若さを失うことは、少しも寂しいことではないの――
過去の恋を思い出しながら、わか子は『源氏物語』の朝顔の君に自身を重ねてみる。
前世か先祖か幻か、わか子のなかに眠っていた女たちの記憶が動き出す。
装画:栗田有佳
装幀:大久保伸子
目次
1.Cloud on the 空き家
2.うどの貴人
3.もの言う馬
4.魂ぎれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さちこ
42
難しかった。2025/09/01
さくら咲く
28
途中から異次元へ物語が移り不思議な空間に漂わされた。摩訶不思議な精神的な結末だった。2025/10/23
tom
19
小池さんが書くものには、ときどきビックリするものがある。これが面白い。主要な登場人物は、和歌が好きな「わか子さん」と量子物理学を学ぶ落ちこぼれ院生。書中にはしばしば藤原定家などの和歌が登場する。わか子さんは貧乏、古家の管理人として働き始めるが、この家が焼け、居候をしていた院生も消える。わか子さんは放火犯扱いされ、どうにか逃れるが、このあたりから奇妙な世界に入り込む。いつの間にか院生が現れて、わか子さんとまぐ合うが、最後には骨と化す。わか子さんも「泥のような粘質の深い眠り」に入って死んでいく。不思議な物語。2026/01/24
田中寛一
14
主人公わか子さんと和歌の取り合わせで物語が進んでいく。途中まではそれなりに読めたのだが、量子力学専攻の院生・融が登場してからの話が、人物、周囲の家などが、分子・量子の世界に置き換わったのかと錯覚してしまうような展開。わか子さんの夢の物語で最後の方で、夢を見てた、ってなるのかなと思ったが、そうでもなかった。平安時代の和歌に寄せながらの物語ならもっとすっきりしそうなのに。ホラー作品ではないんだよね。なかなか読み切れなかった。空き家でわか子さんが生活できたらよかったのに。2025/11/22
くさてる
13
空き家の管理の仕事をすることになった天涯孤独の初老の女性。和歌を好む家主の女性と言葉を交わし、空き家に腐臭を感じながら、現れた家主の甥に惹かれ……といった流れから広がっていく奇想が面白かった。幻想世界がふわっと広がっていきそうなときに、不意に出てくる「イケメン」とかの現代的な語句で現実に落とされる感じがした。不思議な話。2025/10/15
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