内容説明
お父さんに家族との対話を要求します!
高校三年生の千秋は、父と兄との三人暮らし。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて六年。兄は父の出馬をきっかけにいじめられ、引きこもりになった。母は同じころ家を出た。政治と政党に没頭し話の噛み合わない父だが、千秋は対話をしたいと願う。
すれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークルに集う「活動家二世」たち、震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年、高校の生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮ることで新たな視点を得る高校生──それぞれの姿を家族の物語とともに描く全六話。
わたし選挙権の話なんてしてないじゃん。話聞いてよ──「千秋と選挙」
母の言葉とわたしの言葉はちがうのに、わたしは母の言葉を借りてしまう──「佐和子とうそつき」
どっちもそのひとで、どっちも親子の本当じゃん──「和樹とファインダー」
ボランティアって素晴らしいと思ってん──「康太郎と雨」
親父は結局、子どものことなんて考えてないんです──「健二とインターネット」
話すことを諦めたら、わたしはお父さんを憎んで、憎んで憎んで、死んでほしいと思っちゃうかもしれない──「千秋と投票日」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
59
【父はいつもそうだ。自分の主張だけして、こちらの話を聞かず、そのことに気づかない】左翼政党員を親に持つ活動家二世など描いた6編。デビュー作が“ヤングケアラー”で、第2作が“活動家二世”ですか。前者が尖がった感じだったが、後者は二世が健気で痛々しく……。<自分の出自に活動家二世という名前がつけられるなんて、知らなかった。宗教二世問題が取り沙汰されていても、まるきり他人事として聞いていた。それなのに、その言葉を知ったとたん、急になにか自分の中にもそんな苦しさがあるんじゃないかと探すような心もちになった>と。⇒2025/09/30
もぐもぐ
46
親が左翼政党員の活動家二世の苦悩。どんな子供も親の影響は受けるけど、宗教二世の時と同様に経済的に苦しんだり、周囲から揶揄されたりするのは切ない。活動家二世の救済を目的としたほくほくおいも党、テーマやネタが面白そうだったのに、話を広げ過ぎて肝心のおいも党が薄くなってもったいない感じ。でも描きっぷりは気持ちいい。次作も期待してます。2025/09/24
よっち
27
左翼政党の活動家の娘・千秋を中心に、活動家二世たちの思いを多面的に描いた連作短編集。勝てない選挙に出続ける会話にならない左翼政党員の父との関係に悩む千秋。彼女が活動家二世の自助サークルに参加して知っていく、長年熱心な党員・佐和子さんの複雑な胸中や、高校の生徒会長選挙の候補者のドキュメンタリー、党員岩崎さんの学生時代の震災ボランティア、ネット左翼活動を続ける引きこもりの兄、そして県知事選挙の投票日に起きた事件。あまり注目されることのない、本人たちは良くても子どもたちには切実な家族環境はなかなか深刻ですね…。2025/08/07
shio
27
左翼政党員の父を持てば子は必ず応援すべき?「二世問題」を扱いつつ、掘り下げられるのは親子の絆。親は子を、子は親をどう思っているのか?複雑そうでシンプルな問題。解決するには、向き合わねば。「ほくほくおいも党」は、親子の対話を応援します!修復不可能な深い溝の底から、光が見えた。誰もが正しくて、間違っている。絶望に追い込まないユーモラスな文体が、家族の愛情を信じさせてくれる。口に出せないなら、傷ついていないのか?付いた傷は痛まないのか?親と子の間で、なあなあになりがちなお互いの気持ち、ここではっきりさせよう✊2025/06/14
桜もち 太郎
18
「目の前の弱者ひとりを救えないやつが言う弱者救済に、どんな価値があるんだ」、活動家2世が親に対して吐いた言葉。活動家とは物語では左翼政党の共政党のこと。もちろんあの政党のこと。幼いころから父親が選挙に立候補し負け続けている豊田家。無理やり党員にさせられた娘の千秋、兄・健二の心にのしかかる父親の存在。「ほくほくおいも党」は、そんな活動家2世の救済の場だ。選挙で戦い正義を語ることは悪いことではない。しかしその陰で複雑な感情を持っている人はいるんだろうな。活動家2世に宗教2世。なかなか語られることがない物語。2025/10/08
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