内容説明
お父さんに家族との対話を要求します!
高校三年生の千秋は、父と兄との三人暮らし。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて六年。兄は父の出馬をきっかけにいじめられ、引きこもりになった。母は同じころ家を出た。政治と政党に没頭し話の噛み合わない父だが、千秋は対話をしたいと願う。
すれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークルに集う「活動家二世」たち、震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年、高校の生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮ることで新たな視点を得る高校生──それぞれの姿を家族の物語とともに描く全六話。
わたし選挙権の話なんてしてないじゃん。話聞いてよ──「千秋と選挙」
母の言葉とわたしの言葉はちがうのに、わたしは母の言葉を借りてしまう──「佐和子とうそつき」
どっちもそのひとで、どっちも親子の本当じゃん──「和樹とファインダー」
ボランティアって素晴らしいと思ってん──「康太郎と雨」
親父は結局、子どものことなんて考えてないんです──「健二とインターネット」
話すことを諦めたら、わたしはお父さんを憎んで、憎んで憎んで、死んでほしいと思っちゃうかもしれない──「千秋と投票日」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
24
左翼政党の活動家の娘・千秋を中心に、活動家二世たちの思いを多面的に描いた連作短編集。勝てない選挙に出続ける会話にならない左翼政党員の父との関係に悩む千秋。彼女が活動家二世の自助サークルに参加して知っていく、長年熱心な党員・佐和子さんの複雑な胸中や、高校の生徒会長選挙の候補者のドキュメンタリー、党員岩崎さんの学生時代の震災ボランティア、ネット左翼活動を続ける引きこもりの兄、そして県知事選挙の投票日に起きた事件。あまり注目されることのない、本人たちは良くても子どもたちには切実な家族環境はなかなか深刻ですね…。2025/08/07
shio
24
左翼政党員の父を持てば子は必ず応援すべき?「二世問題」を扱いつつ、掘り下げられるのは親子の絆。親は子を、子は親をどう思っているのか?複雑そうでシンプルな問題。解決するには、向き合わねば。「ほくほくおいも党」は、親子の対話を応援します!修復不可能な深い溝の底から、光が見えた。誰もが正しくて、間違っている。絶望に追い込まないユーモラスな文体が、家族の愛情を信じさせてくれる。口に出せないなら、傷ついていないのか?付いた傷は痛まないのか?親と子の間で、なあなあになりがちなお互いの気持ち、ここではっきりさせよう✊2025/06/14
ねこミー
7
書店で平積みされていて、キャッチーなタイトルと表紙に惹かれ購入。装丁と内容に乖離があるように感じました。2025/07/27
おうさま
5
初上村作品 左翼政党員の父と、半強制的(?)に入党させられる兄妹の 家族の話なのでしょうが、私的にはあまり刺さらなかった 共感できそうな登場人物も見当たらなかったので ちょっと残念2025/07/25
三田郎
2
ふわっとしてるというか地に足ついてないというかそういう人物描写がクセになる なんか好き2025/07/24
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