内容説明
1945年8月の広島と長崎で被爆した「二重被爆者」山口彊(つとむ)氏の孫と、両方の地への原爆を投下した米爆撃機に搭乗していた軍人ジェイコブ・ビーザー氏の孫が出会ったとき、どんな対話が生まれるのか。広島と長崎の「キノコ雲」の上と下にいた二人の祖父たちから、80年の時を経た今、彼らの残したメモや日記、貴重な資料の数々から孫たちが当時を描き出し、10年以上にわたる交流と協働を記した異色のノンフィクション。朝日新聞デジタル掲載「孫たちの意外な友情 ヒバク80年、日米往復書簡」も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
50
宇佐美氏の『13月のカレンダー』を読みながら原爆被害の実相は「時代を跨いで語り遺される直接体験」から「世代を跨いで語り継がれる間接体験」へと移行する時が来たのだなと痛切に感じた。広島と長崎の原爆投下で両方の投下機に搭乗した米軍兵の孫と両方の投下地に居合わせて二重被爆した民間技師の孫の対話記録。正誤の結論でも和解への処方箋でもない。互いに譲れない思い・飲み下せない思いを抱えたまま一方で互いの悲しみと尊厳を慈しむように交流は深まる。対話による禍根と希望が捩じれて紡がれる糸が分断した世界を繕う未来を信じてみたい2025/10/13
みゃお
5
妹からのオススメ本。 こんな運命があったとは。 二重被爆は、ありえないことではなかったかもしれないが、想像すらしたこともなかった。 投下兵にしてもしかり。 知っていたこと。 知らなかったことの方が 多かったけれども、これは 希望の光になるだろうか。 こんな危うい世界で。 まずは、知ること。 小さくてもできることを行うこと。 決してあきらめてはいけない。 同じ過ちを起こさないために。 長崎を最後にするために。 この本に出会えてよかった。 2025/09/16
トト
5
三菱長崎造船所に勤務していた山口彊さんは、1945年5月から単身赴任で三菱広島造船所に来ており8月7日に長崎に戻る予定だった。6日に広島で被爆し、全身怪我と火傷の中命からがら長崎に戻り、9日またもや被爆。米陸軍航空隊に所属していたジェイコブ•ビーザー氏はレーダー士官として広島長崎原爆投下のB29に搭乗。2人の視点で描かれる当時の臨場感、そしてその孫同士の交流で、価値観文化環境の違いを対話で埋めながら、核廃絶平和を望み奔走。暴力が蔓延する世界に、対話と理解で平和解決を目指す。人間にしか出来ないと思うのだが。2025/07/31
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4
広島長崎の二重被爆者と2度のB29での原爆投下に携わった元兵士の孫の交流、共に核廃絶に向けての運動に。往復書簡、完全には一致することはないが、お互いをリスペクトすることの大切さ。核廃絶に向けた声をあげることの大切さ痛感。核武装が安上がりといった党に決して共感しないし、一生投票することはない。2025/08/07
Kadwaky悠
1
もともと山口彊さんのことは知っていて、彼のすさまじい生い立ちを初めて触れたときすごく驚愕した記憶がある。その山口彊さんの対をなすように、広島、長崎に原爆を投下したいずれのB29に唯一搭乗していたジェイコブ・ビーザーさんの存在がこの稀有な人生を一層物語らしめている。そして、この物語を語るのが彼らのそれぞれのお孫さんであるのは、非常に興味深い。彼らはこの物語を通して、「核と人間が共存できない」ことを主張し続けている。原爆や戦争を直接体験した語り部が減少する昨今、彼らの言葉をこれからももっと追い続けたい。2025/11/05
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