内容説明
中国語通訳歴68年
中国語通訳の第一人者として国交正常化前から70年近く活躍してきた著者の自伝。2歳で満洲にわたった著者は、敗戦後の中国長春で初めてきちんと中国語と向き合う。1953年帰国。貿易代表団の来日を皮切りに、京劇代表団の日本公演、原水爆禁止世界大会(長崎)などで通訳を務め、1990年からはフリーランスの通訳者として様々な国際会議やニュース番組を支えてきた。許広平(魯迅夫人)、曹禺(劇作家)、廖承志(中日友好協会会長)、江沢民(元国家主席)、細川護煕(元総理大臣)など折々の登場人物も圧巻である。
【著者】
神崎多實子
1935年東京都生まれ。幼年期に中国へ渡航、中華人民共和国成立後、長春東北師範大学附属中学校で学ぶ。1953年帰国。東京都立大学附属高等学校(現都立桜修館中等教育学校)卒。『中国画報』社(北京)、銀行勤務などを経て、フリーランスの通訳者に。通訳歴は60年を越える。ほかにNHK・BS放送通訳、サイマル・アカデミー講師等を30年余り務めた。第5回JACI(日本会議通訳者協会)特別功労賞受賞(2022年)。関東日中平和友好会顧問、長春東北師範大学附属中学日本校友会名誉会長。
目次
まえがき
第I部 満洲崩壊から新中国の誕生
プロローグ
第一章 「五族協和」の日々
第二章 敗戦、国共内戦の時代
第三章 解放区吉林へ
第四章 再び長春へ――歌から覚えた中国語
第五章 東北師範大学附属中学校――師生情、同学情
第六章 帰国の途へ
第II部 帰国、通訳の道へ
第一章 緑の島――日本
第二章 駆け出しの通訳のころ
第三章 中国再訪、青春の想い出
第四章 中国語研修学校の教師のころ
第五章 北京友誼賓館の想い出――マラソン人生の小休止
第六章 銀行の通訳時代――一九八〇~一九九〇
第III部 通訳奮戦記
第一章 放送通訳の現場から
第二章 要人の通訳――切り立った稜線を行くが如く
第三章 グローバル化の波間で
第四章 言葉からみた両岸関係の変遷
第五章 通訳こぼれ話
第IV部 旅の栞
再び友誼賓館を訪れて――合歓の木の下で
遥かなるロシア――一二日間の旅
「目から鱗」――中国六日間 文化の旅
あとがき