内容説明
片輪、めくら、特殊部落……。公には使ってはいけないとされるこれらの言葉。しかしなぜこれらは「差別語」であり、使用する側にもされる側にも、そう感じさせるのだろう? 例えば「屠殺」の場合、生きているウシと食材としてのギュウという2つの言葉を用意せずにはいられなかった私たちの感覚に、問題を解くカギがあるのではないか。自ら公の場で使用し、糾弾された経験を持つ著者が、一つ一つの言葉が持つ文化的背景などから、差別語の差別語たるゆえんを解読。避けて通ったり排除したりするだけでは何の解決にもならない、日本語の、日本社会の根本問題に取り組む。
目次
まえがき/序説 差別語の発見/第1講 言語ニヒリズムの邪道/第2講 ことばは人間が作ったものだから人間が変えられる/第3講 蔑視語と差別語/第4講 サベツ語糾弾が言語体系にもたらす結果について/第5講 「オンナ」で考える──サベツ語と語彙の体系性/第6講 「片目」で考える──欠損を表わすための専用形/「場所をかえての連載」にあたって/第7講 ハゲとメクラ──欠如詞(privativa)の概念を検討する/第8講 略語のサベツ効果について──「北鮮」から「ヤラハタ」まで/第9講 「トサツ」についての予備的考察/第10講 「カタ 」の練習問題──カタテオチはサベツ語か/第11講 サベツ語にも方言的カタヨリがあるかもしれん──ブラク・ブゾクの「部」について/第12講 豊橋豚のナマクビ事件の巻/あとがき/ちくま学芸文庫版あとがき/参考文献一覧/解説(礫川全次)
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