内容説明
公教育を問う衝撃のルポ
『ごんぎつね』の葬儀では、死体を煮ていた!? 物語を読み解けない子どもが増えている。公教育で子どもたちは言葉を取り戻せるのか。
単行本 2022年7月 文藝春秋刊
文庫版 2025年7月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
78
国語が全ての基本、言葉が生きる力になる。同感。色々な「余白」がなくなり、育む土台がやせ細ってしまったんだろうな。求められることが増え、先んじて手を打てる家庭・できない家庭の差がどんどん広がって。SNSがそれを加速させる。すぐれた学校の取り組みは素晴らしいけど、それ上澄みだよね。素質があり、家庭も安定してる子たちの話。前半でとりあげられた課題集中校や、正規ルートからこぼれ落ちた子たちの実態とはあまりにかけ離れ、しっくりこない。結局教育にきちんと人・モノ・金を投入することでしか解決しないのでは。モヤモヤする。2026/04/28
Shun
35
話題になった”「ごんぎつね」を読めない子供たち”というコラムが伝える国語力低下の懸念。最初はにわかに信じがたい状況に思えましたが次第に危機感を抱くようになった。小学生とはいえ、亡き母を鍋で煮ている光景ですと真面目に議論する子供たち。そこには読解力だけでなく想像力や感性といったものまで欠けている現状があった。その原因は家庭環境の他にも現代の複雑な社会、例えばSNSや学習指導要領に追加されたSDGsや多様性といった新しい概念まで様々だ。問題は根深く教育環境の改善が急がれる。一人でも多くの人に読んでほしい1冊。2025/07/23
くるぶしふくらはぎ
24
「国語力」格差が社会的環境格差を生む。一因として「徒弟制度の崩壊」が挙げられている。便利なアプリの登場で、バイトをする人は職場で育てらず、「使える人」だけが重宝され、「人」を根気よく育てる風土がないので「使えない人」はいつまで経っても何を直せばいいのか分からぬまま年齢を重ね、低賃金のまま。終章の「感情労働」にもつながる。理不尽な状況でも自分をコントロールする力は「国語力」がその土台となる。教育最前線の学校の取り組みに国語力UPの改善のヒントがあると提示されている。言葉は自分を作る根幹なんですね。2025/11/09
てくてく
10
「ごんぎつね」の葬儀シーンが理解できない子どもたちから始まって、コミュニケーションを下支えする国語力、言語化およびその理解力の欠如に由来するトラブルや問題、明確な理由が本人すらわからない不登校、ゲーム依存とそれによる言葉への影響など、様々な問題を取り上げた上で、国語力育成の最前線を紹介することで、国語力回復のために何が必要かを示唆する一冊。日本女子大附属中高の文庫本一冊を一学期間かけて精読する取り組みが魅力的だった。2025/07/12
さみ
8
筆者の主観であるルポは割と好き。怒りや悲しみなどの感情の度合いを説明する言葉を持てず、「死ね」「殺すぞ」と鋭利な言葉を発する子どもたち。そしてその言葉を額面通り受け取り、自分の価値や尊厳を言葉で表現できないがために「死ねと言われたから死ぬ」と自殺に至る子どもたち。フリースクールや少年院での感情の持たせ方、言葉の表現のさせ方が参考になった。ラストで紹介されるような最先端の国語教育を田舎の公立校で実施することは困難だと思うが、おすすめの本を子どもと相互に紹介しあう「読書通信」は家庭でもやってみたいと思った。2025/09/15
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