内容説明
〈色〉と〈思い出〉をめぐる感動のミステリ
ニセコにある、お客の〈思い出の色〉を再現するインク店。誰もが抱える後悔や逡巡に、風変わりな女性店主が色で寄り添う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸巻
25
江戸切子の見習い職人・三雲は祖父の工房から逃げるように北海道を旅行中、不思議な黒猫に誘われニセコで〈マツカリヌプリ洋墨堂〉を営むインクブレンダー・七虹(なな)と出会う。成り行きで七虹の家で居候の身となり…。インクブレンダーという職業を初めて知った。七虹は人の心の色彩が見える力を持っていて、客の想い出に寄り添い唯一無二のインクを作る。彼女と生活を共にし惹かれていく三雲がこの先どうするのか気になりながら読んだ。朝焼けの羊蹄山やガラスペン、北海道の食べ物など気になるものが沢山。思わず検索してしまった。2025/07/18
小梅さん。
6
思い出の色をインクにしてくれるって憧れる。 店主七虹(なな)さん、その能力ゆえもあってか、ちょっとユニークな性格。猫のようなまばたきをする、という表現が何度もあって、実はヒトでないまで深読みしちゃったw 彼女の夫との関係もちょっと不思議。 ひょんなことからそこに滞在することになった三雲。 いろんな思いを抱えてやってくるお客様の想いを映したインク。私なら、どんな色を選ぶのだろう。 そのお客様の1人が、別シリーズの彼女だったのがちょっと嬉しい。 最終話に登場の桑原氏もなかなか魅力的だった。 シリーズ化希望。2025/07/23
ゆり
1
推しの色でインクを作ったり、思い出の色でインクを作れるのが素敵。ガラスペンも想像するだけで楽しい。要所で出てくる北海道の景色の描写も綺麗でうっとりしました。同じようなインクが出てくる『銀河ホテルの居候』や『メディコペンナ』よりは出てくるインクは少なめですが、商品を紹介するというより、その人の思い出にあわせた昔と今をあわせた色を作るというところが、既存のインクが出てくる小説とは違うかなと思いました。私も思い出の景色やものの色をインクにして残しておきたくなりました。2025/07/13