内容説明
今川義元の子・氏真
北条家の四男・氏規
信玄の長子・義信
――知られざる傑物に光をあてる
今村翔吾、初の短編小説集
父義元を討たれ、今川彦五郎氏真は家督を継ぐ。しかし、隣国に圧迫され没落の一途を辿ってしまう。
そんな暗愚と評される氏真を、妻の由稀だけは信じていた。苦難の中、氏真と由稀は近江で童たちの師となり、未来に明るい光を見る。だが、童らに悲劇が――。
蹴鞠と和歌を愛す氏真が、天下人信長に示した心意地とは(「蹴れ、彦五郎」)。
誰もが持つ、輝く才を描いた八編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Atsushi Kobayashi
15
ちょっとムラがありましたが、面白かったです。2025/07/17
hideto
8
今村先生の新刊は珍しい8作からなる短編集。得意な戦国時代から、珍しい明治時代の話まで、バラエティに富んだ内容になっています。とりわけ、本のタイトルにもなっている「蹴れ、彦五郎」は、今川氏真の気概溢れる姿に心打たれましたが、まさかこれが初作品とは驚きました。才能ある人は最初から違うんだな〜なんてことを思った1冊です。2025/07/26
スエ
3
ホラー仕立ての「三人目の人形師」や、わずか10ページの掌編「青鬼の涙」など、長編とはまた違った趣きがあり、先生新境地ですか!と思っていたら。なんとデビュー前後の作品集ということでひっくり返りました。すごいなぁ。この路線の作品も、どんどん書いてほしい。2025/07/28
shonborism
3
短編集。どれも主人公になりづらい歴史上の人物が多くて面白い。当時の価値観に染まらず、さいを重んじ妻を愛す主人公というのは今村作品によく出てくるが、第1作の表題作がプロトタイプのようだ。一作だけ武士が出てこない人形師の話は異色でよかった。2025/07/20