内容説明
日本の技術と文化を支えてきた伝統工芸の職人技
日本の伝統的な手仕事の現場には、職人たちが不思議な縁で結びつき、自然の恵みを循環させる仕組みがあった。
『ぶた にく』『ホハレ峠』等で知られる写真家・映画監督が、〈循環する暮らし〉のゆくえを追う感動のノンフィクション。
著者が監督をつとめる長編ドキュメンタリー映画『炎はつなぐ』(2025年7月公開)原作!
[登場する職人たち]
和蝋燭(わろうそく)職人、木蝋(もくろう)職人、藍染(あいぞめ)職人、小鹿田焼(おんたやき)、藍甕(あいがめ)、藍師(あいし)、米農家、和紙職人、ミツマタ農家、簀編(すあ)み職人、竹ひご職人、金箔(きんぱく)職人、柿農家、塗師屋(ぬっしゃ)、漆刷毛師(うるしばけし)、漆掻(うるしか)き職人、漆精製(うるしせいせい)職人、樽(たる)職人、漆(うるし)カンナ職人、砥石(といし)職人、浄法寺塗(じょうぼうじぬり)と津軽塗(つがるぬり)、製炭師(せいたんし)、木地師(きじし)、灯芯引(とうしんひ)き、灯芯草(とうしんそう)農家、墨職人、松煙(しょうえん)職人、墨型彫刻師(すみがたちょうこくし)、真綿(まわた)職人、養蚕(ようさん)農家、愛媛蚕種(えひめさんしゅ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
107
和蝋燭の製作に関連する職人たちの姿が美しい。32種類もの手仕事がしりとりのように繋がっているのが凄い。金箔を作るために和紙が必要で、その和紙を鍛えるために藁灰や渋柿の職人が関わる。更に、漆カンナや砥石など、職人の命である道具もまた、優秀な職人の手仕事によって整えられている。この見事な連鎖の一つが途切れても成り立たない奇跡の世界に圧倒される。あとがきに「皆さん、僕のような門外漢の素人に対しても謙虚だった」とある。でも、それは、著者自身が謙虚だったからだ。手仕事への敬意に満ちたこの本の精神は、とても気高い。2025/08/19
けんとまん1007
43
これまでに、大西さんの写真集を何冊も眼にしてきたので、見覚えのある職人の方が何人も登場されている。職人という言葉の響き・意味を思う。何人かは、ワン・アンド・オンリーで、後継者がいない(現時点で)ようでもある。一つが途絶えると・・。一つの技・伝統には、道具・原材料など、いくつもの前後がある。中にあった「リユース・リサイクルではなく循環である」のフレーズが心に沁みる。自然・大地も含め、循環なのだということを考え続けたい。2025/12/25
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
5
和ろうそくにつながる伝統工芸産業の世界。養蚕、漆、ハゼ、藍、墨・・・こうしたものが、どこかで細く網の目のようにつながっていて、廃棄される物は何もないという循環型産業。知らなかったことだらけだ。木地の椀に漆を塗り重ねるのは、単なる塗料というより目張り、硬化の目的があるなんて。これは素晴らしい本だ。映画も良かった。https://qr.paps.jp/KIkcB 2025/08/30
Humbaba
3
現代の技術を使い、多大なコストを賭ければほぼ同じものを機械によって作れるようになるかもしれない。しかし、全く同じレベルになれるのかは別であるし、そもそもそれだけのコストをかけたとしても需要が多くなければムダに終わってしまう。そうではなくて人がこれまでの経験などを基にして作るからこそ実現できるレベルというものもあり、それを求めているという人もいる。2026/01/19
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2025年6月初版。初出「毎日新聞東海版・人と知恵がつなぐ」2020年4月~21年4月。大幅に加筆・修正。手仕事職人譚。職人の世界ではいつも問題になる後継者問題。ドキュメンタリー映画『炎はつなぐ』原作。映画も観てみたい!『養蚕という仕事は、命を育てる仕事なのか、それとも命をモノとして扱う仕事なのか、考えて続けています。』p.422。職人達の横の繋がりと追って行く著者の心意気に感動です。2025/07/14




