戦争トラウマを生きる - 語られなかった日本とアジアの戦争被害、傷ついたもの

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戦争トラウマを生きる - 語られなかった日本とアジアの戦争被害、傷ついたもの

  • 著者名:蟻塚亮二【著】/黒井秋夫【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 株式会社泉町書房(2025/07発売)
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  • ISBN:9784910457086

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内容説明

史上初めてPTSD日本兵家族会を作った黒井秋夫と沖縄・福島でトラウマ治療に取り組む精神科医・蟻塚亮二。戦争で負う傷の実態を明らかにし世界の傷ついたものによる連携を図り、反戦平和の新たな動きを模索する。

痛みを知る側から社会変革の可能性を探る「高強度」の平和論かつスリリングな対談集。
史上初めてPTSD日本兵の家族会を作った黒井秋夫。心を病みながら戦後を過ごし、時には家族に暴力を振るい、社会に適応できずに生きた元日本兵士の存在を明らかにしたその活動は新聞・テレビで注目されている。もう一人の著者・蟻塚亮二は沖縄・福島で戦争・原発事故のトラウマ治療に取り組んできた第一人者。両親が戦争トラウマを抱えて生きた著者二人が、苦難に満ちた自分と家族の戦後の歩み、兵士や戦争被害のPTSDを語り、今も続く戦争の真の残酷な姿を明らかにする。また、被害者側から声を上げて、行き詰まる反戦の動きを民衆の側から実現しようと試みる、読み継がれるべき平和論、対談集。これまでの「多少の犠牲は仕方がない」という社会や国家の在り方を見直し、世界の傷つけられたもの同士で交流を図る平和運動について語り合う。「東アジア・戦争トラウマシンポジウム」も収録。ここでは「韓国」社会学者・鄭暎惠、「中国」歴史学者・李素楨、「沖縄」対馬丸記念館館長・平良次子と、国家による被害を受けた民衆同士の連携と赦しを模索する。

【著者】
蟻塚亮二
1947年福井県生まれ。精神科医。72年、弘前大学医学部卒業。97年まで、青森県弘前市の藤代健生病院院長を務めた後、13年まで沖縄県那覇市の沖縄協同病院などに勤務。13年から福島県相馬市の「メンタルクリニックなごみ」院長を務める。著書に『沖縄戦と心の傷 トラウマ診療の現場から』(大月書店 2014)、『戦争とこころ』(沖縄タイムス 2017年 分担執筆)、『戦争と文化的トラウマ』(日本評論社 2023年 分担執筆)、『悲しむことは生きること 原発事故とPTSD』(風媒社 2023)など

黒井秋夫
1948年山形県生まれ。山形大学人文学部入学後、学生運動を主導したとして退学処分に。その後は地域の生活協同組合や全国生協連の職員などを務め、2010年に退職。 18年に「PTSDの復員日本兵と暮らした家族が語り合う会」を設立、20年には、東京都武蔵村山市の自宅敷地に復員兵問題や戦争に関する資料を集めた「PTSD日本兵と家族の交流館」を開設した。2023年に会の名称を『PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会』に改称する。

目次

第1章「親の戦争PTSDと生きる」―戦後の「手のひら返し社会」と戦争トラウマ
第2章「戦争トラウマを生き抜いた戦後」―私たちの青年時代
第3章 「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」-回復の実践
第4章 見捨てられ続けた日本兵、戦争・災害被害者とその家族
第5章 「痛みを知るものがつくる平和」-少数派を犠牲にしないために
第6章「東アジア・戦争トラウマシンポジウム」
【第Ⅰ部・韓国編】国家から被害を受けた民衆の連携を模索する―日本人の無力感を超えて
【第Ⅱ部・中国編】 旧満州で黒井さんたちが謝罪した意味-民衆レベルで平和の土台を作る
【第Ⅲ部・沖縄編】「命に対する向き合い方が変わる」平和論-戦争体験者の生き方から
あとがき
「戦後史の闇を背負って」 黒井秋夫
日本人の無力感を形成する「軍国主義のトラウマ」 蟻塚亮二

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

どら猫さとっち

13
戦争トラウマは、近年注目された言葉である。過酷な戦場で、極限の世界で傷ついた心は、後の家族を苦しめ、自らも追いつめられる。今もフラッシュバックなど、戦争での記憶で苦しめられる方々もいる。それは時間と共に癒せるのだろうか。精神科医と戦争被害者の家族を支える集会の主宰者が語り合う、傷を抱えて生きることや平和の願いの対話。後半は開催されたシンポジウムの模様を収録。苦しみの連鎖を起こさないためにも、戦争は反対する。2025/11/04

ちい

10
NHKの放送で知った著者。元兵士の父が戦後、抜け殻のようになる。別の女性の父親は、戦後、家族に暴力を振るうように。ベトナム帰還兵の多くは精神を病み、現地での戦死者よりも多くの自殺者やアルコール/薬物中毒者が出たという。私の父は戦後すぐの生まれ。そういえば昔、「よく親(私の祖父)に折檻された」と話していた。その父も、酒を飲んでよく母に暴力を振るった。何度警察を呼んだことか。暴力は連鎖する。大嫌いな父だったが、もしかすると祖父の戦争のトラウマが、悪い連鎖を起こしたのかもしれないと思うと、色々と考えさせられる。2026/04/29

二人娘の父

5
「ルポ戦争トラウマ」「戦争とトラウマ」に続いて手にした。蟻塚医師は「沖縄戦と心の傷: トラウマ診療の現場から」(大月書店)で、診療を通じて体験した沖縄戦独特のトラウマの現れについて明らかにした人物。一連の書籍を通じ、戦争の本質理解への手掛かりを、また一つ得られた思い。本書では中国、韓国、沖縄と日本の被害の側に立つ人たちと戦争トラウマについて語り合う。実態は、加害・被害を単純に対立軸とすれば事足りるような甘いものではなく、国家による実態の認知と反省、賠償など一連の取り組みが求められることが浮き彫りになる。2025/10/10

おさ

3
戦争トラウマを抱えて帰国した人たちが、アルコール依存になったり、家族に対して暴力的に振る舞うなどのことは、家族にも様々な影響を与え、子供などの非行や不登校の原因となったことは多いでしょう。 非行や不登校などの問題行動は、病んだ家庭や生育歴の症状として捉えるべきで、そこを直そうとして対応するのは、的外れと思います。 最近では子供に害を与える家庭が在ることが何かと取り上げられるようになりましたが、以前はほとんどの臨床家が知らなかったのでしょう。2026/01/12

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