内容説明
戦車・毒ガス・航空機など新兵器が登場! 戦いの様相と戦略思想や戦術概念の変化、政治・軍事指導者のリーダーシップを多角的に再検証する最新研究。20世紀の幕開けを告げた総力戦の全貌。
プロローグ 「軍事史」としての第一次世界大戦―二〇世紀の幕開けを告げた総力戦
第一章 二〇世紀の時代状況と第一次世界大戦の勃発
第二章 一九一四年―「クリンチ」
第三章 一九一五年―「行詰り」
第四章 一九一六年―「相討ち」
第五章 一九一七年―「緊張」
第六章 一九一八年―「急展開」
エピローグ―ブライアン・ボンドと「西部戦線異状あり(The Unquiet Western Front)
むすびに代えて
第一次世界大戦ヨーロッパ西部戦線関連年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
114
第一次世界大戦の勃発当時、思考回路が19世紀のままの各国指導者や軍部首脳は短期戦で終わると予想していた。しかし実際は人類初の総力戦となり、準備していた計画は紙屑と化し未知の戦争に臨まねばならなくなった。ヘイグ、ペタン、ルーデンドルフらは新しい戦争を懸命に学んで長期戦を戦い続けたが、ロイド・ジョージやクレマンソーら優れた文民政治家がいた英仏が継戦能力を確保し、最終的にドイツを屈服に追い込んだのだ。「戦争は政治の一手段」と喝破したクラウゼヴィッツの祖国が、勝利を優先して政治経済を破綻させた結末は何とも皮肉だ。2025/02/04
K
14
「WW1研究はライフワーク」とする石津氏による書。~の戦い等、各イベントの記述はあっさりしており、本書を以てWW1自体を学ぶには適さない印象。他方、まさに学術分野としての軍事史におけるWW1の意義、WW1研究の変遷を知るには良書。筆者と同じく英国留学でWW1を学んだ身からすると、英語圏(特に英連邦)で展開される議論が日本語で紹介されていることに感銘を受ける。最終章はボンドの『英国とWW1』の解説であり、無意味な戦争としてのWW1神話へ抵抗するボンドの論調が紹介。参考文献含め、学術書として良本。2025/02/21
パット長月
10
第一次世界大戦の主に西部戦線の戦闘や軍・政治家の戦争指導に関する英国を中心にした研究家の見解をコンパクトにまとめている。コンパクトかつ高度すぎて、一般読者向けというより、防衛研究所紀要とかのプロ向けの論文の編集みたいな印象。各戦役の解説も必要最小限で地図も少ないので素人の私などには経過がほとんどわからず、戦記的な面白さは皆無に近い。とはいっても、いろいろと新しい見解に触れることができ、とても勉強になった。2025/01/15
Go Extreme
2
二〇世紀の幕開けを告げた総力戦 攻勢主義への妄信 国民総武装 塹壕戦 シュリーフェン計画 最後の百日間戦争 スペイン風邪と大戦終結の関係性 ドイツ流の戦争方法 フーチエル戦術 リデルハート 西部戦線異状なし ロバに率いられたライオン 第一次マルヌ会戦 ブルシーロフ攻勢 ヴェルダンの戦いとソンムの戦い 軍事史 戦争史 時代精神 短期決戦 長期化 消耗戦 国民国家 国民皆兵制 記憶 神話 修正主義 西部戦線 東部戦線 アラビアのロレンス ヴェルサイユ条約2025/04/15