内容説明
戦争の傷、読書の歓び、セルビアでの暮らし。日記文学の傑作、待望の増補文庫化。 セルビア語と日本語の詩を読み書く毎日、街角で語られるNATO空爆の悲惨な記憶、難民のこどもたちとの触れ合い、各地の戦争や東日本大震災へ寄せられる人びとの言葉、友人たちとの親密な時間、そして別れ……セルビアの首都ベオグラードで詩人が記した、歓びと哀しみの日々のかけら。読売文学賞受賞の日記文学の傑作に新たに最近6年間をまとめた日誌を増補。解説 小林エリカ
目次
はじめに/またひとつ舟が出ていく──二〇〇一年六月二十三日~十二月二十六日/貝のための子守唄──二〇〇二年一月二十六日~十二月二十七日/血まみれの童話──二〇〇三年一月一日~十二月二十五日/痕跡──二〇〇四年一月二日~十二月二十六日/谷に響く笛──二〇〇五年一月一日~十二月二十四日/骸骨の瞳、骸骨の口──二〇〇六年一月五日~十月八日/軽くて小さいが麗しいもの──二〇〇七年一月三日~五月七日/あきらめないでください──二〇〇九年五月~二〇一二年六月/終わりに──「小さな言葉」という小窓から/続・ベオグラード日誌──二〇一九年一月一日~二〇二五年二月十八日/解説 小林エリカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
10
「パンと野いちご」がとても良かったので名前を憶えていた詩人の日記。とにかく使われている言葉が平易であっても美しく、情景が目に浮かぶ。セルビアという地で語られる空爆の思い出、友人、家族の死といった哀しい出来事も多いのだけど。本当に言葉の力、詩人の選ぶ言葉というのはこういうものなのだろうと思った。2025/10/08
とりから
5
9.11のニューヨーク、3.11の福島のように、人々の記憶に刻まれる日付と場所がある。そのようなモニュメント的な日付の上を、2001からおよそ14年間を綴った日誌は通り過ぎていく。その隙間の、歴史から忘れられたような市井の言葉、悲劇、そして希望を丹念に拾いながら。筆者はベオグラードと日本を拠点に活動する詩人。ベオグラードは、大国の狭間で歴史のうねりに晒されたセルビアの古都。日誌という私的な体裁だが、ベオグラードという磁場を、日本人という異邦人の目から眺めることで、ある種の普遍性を持った「世界文学」となる。2025/09/13
駒子
3
感想を書くのが難しい。隙間がないほど完結した川の流れに入っていくのが恐ろしい。足を入れた途端流れを変えてしまうと完璧な川の流れが狂ってしまう。私はそれが恐ろしい。人が死ぬ。一人一人どこかで死ぬ。それがこんなに詩の世界で描かれている。この本はずっと私の本棚の特別な場所に置かれ続けると思う。2025/11/23
n_kurita
3
ひとつひとつの言葉がたまらなく美しいと感じる。この人の紡ぐ言葉の全てが自分の胸を打つ。すごいな。〝詩人〟という存在を想う。過去に読んだどの詩人の言葉とも違って見える。自分でも使う何気ないことばの組み合わせが、何故かそれ自体が、光輝いているように読める。本当に何故なんだろう。もちろん美しいだけの話ではない。それでも、だからこそ深く刻み込まれる。行ったことのない国、会ったことのない人々、そしてプルキー!会ったことも見たこともない国や人々や猫を想う。これが詩であり、文学なのか。2025/09/02
r
3
あぁ買ってよかったという本にひさしぶりに出会えた。2025/04/23
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