内容説明
ルイジアナ州アイビーリア郡。刑事ロビショーのもとに、かつて私刑により父親を磔殺された写真家ミーガンが訪ねてくる。窃盗罪で拘置中の黒人が看守に虐待されていると訴えてきたのだ。真相を探るうち、件の囚人の妻の自殺、レイプ犯らの殺害と、様々な悲劇が表面化し、かつての磔の惨劇へと結びつく……。米南部ミステリーの巨匠が犯罪小説に文学性を吹き込んだCWA最優秀長篇賞受賞作!(解説・霜月蒼)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pulp
14
ルイジアナ州、過去にリンチで磔にされて殺された運動家の娘で、今は写真家になったミーガンが、刑事のロビショーのもとにやってくる。拘置中の知り合いの黒人が看守に虐待を受けているというのだ……。ミステリとして読むと、複数の出来事が並行して進行するので、なんだか焦点がぼやけてしまった印象。結構複雑なプロット。私には難物だった。読み進めるのになかなか苦労したが、情景や心象の描写が濃いので、そういうのが好きな人向きかな。犯罪を描いてはいるが、これはアメリカ南部を舞台にした文学として、じっくり読むべき小説なんだろう。2025/08/06
たまこ(こなぎ)
2
シリーズ10作目?ということで、人間関係を把握するのに時間がかかった。ロビショーの保安官という立場も米独自の法執行官のようで分かりにくい。物語はアメリカ南部で白人(主にアイルランド系?)、イタリア系、黒人の関係をなんとなくでも知らないと理解しにくい。自然は「ザリガニの鳴くところ」の情景と似ていて、じっとりとした暑さ、水辺と釣り、ボート、車が重い雰囲気を醸し出す。そして、人が簡単に殺されていく。どうしてそんなにロビショーが犯人探しにこだわるのかと感じてしまった。法執行が仕事であれば当たり前のことなのに。2025/08/14