内容説明
ルイジアナ州アイビーリア郡。刑事ロビショーのもとに、かつて私刑により父親を磔殺された写真家ミーガンが訪ねてくる。窃盗罪で拘置中の黒人が看守に虐待されていると訴えてきたのだ。真相を探るうち、件の囚人の妻の自殺、レイプ犯らの殺害と、様々な悲劇が表面化し、かつての磔の惨劇へと結びつく……。米南部ミステリーの巨匠が犯罪小説に文学性を吹き込んだCWA最優秀長篇賞受賞作!(解説・霜月蒼)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
497
癖の強い人物が次から次へと出て来て、本筋の事件に関係あったりなかったり、落としどころがよくわからないまま終わったな⋯と思っていたら解説読んで吃驚のシリーズ十作目。そうなってくると話は別で、他も読んでみないことには判断つかない点が多し。終わり方が綺麗で、抑制のきいた一人称もかなり好み。ひょっとすると大好物な部類なのかもしれない。アメリカ南部のリアルな空気感を知らないと嵌まれないタイプの作品なのかという懸念もあるが、折を見て他作品も読もうと思えるだけの引っ掛かりはある。それ次第で評価はまったく変わりそう。2025/10/04
タツ フカガワ
66
ルイジアナ州アイビーリア郡保安官事務所の刑事ロビショーのもとに女性写真家のミーガンがやってきて、窃盗罪で服役中の黒人が看守に虐待されているという。かつてミーガンの父親も磔刑の姿で殺されていて、まともな捜査も行われないまま犯人はいまも不明だった。1998年のハードボイルド・サスペンスで、ロビショーをはじめ、相棒の女刑事ヘレンや元相棒のクリートなど個性も鮮やか。そして全編ひりひりするような雰囲気のなか、“差別”の物語は登場人物の名前が変るだけで延々と続いていくというテーマの余韻深い結末もよかった。名作かも。2026/09/27
stobe1904
25
【CWAゴールド・ダガー受賞】舞台はアメリカルイジアナ州のニュー・アイビーリア。保安官事務所の刑事であり、釣餌店を営むデイブ・ロビショーのもとに、父親をリンチのうえ磔にされて殺害された写真家のミーガンが訪ねてくるが…。過去の事件、アメリカ南部の風土、人種差別、サイコパスなど面白い要素が詰まっているはずだが、背景が複雑すぎてイマイチ消化不良感が残る。抑えの効いたハードボイルドのトーンとバイユーの映像的な描写は印象的だが、ミステリとしては凡庸かな?★★★☆☆2026/04/14
maja
22
刑事ロビショーのもとに今では社会派の写真家として活躍するミーガンが現われる。拘置中のある男が看守から虐待されているという。が、彼女は何らかの理由でロビショーを必要としていて・・。歴史や風土を窺いながら、ロビショーの心情とともに描かれていく現在・過去の事件が錯綜する登場人物たちのドラマが印象派の絵画のような南部の情景描写に重なっていく。熱量にあてられて把握できないまま読み終えてしまったところもあり。 2025/09/21
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
19
暴力と人種差別に支配されたルイジアナのある街の殺人事件の話。黒人であると言うだけで暴力的に扱われるし、酔っ払いは乱暴者。刑事が主人公だが、こんな尖って武器を振りかざすばかりの者相手の仕事は、想像しただけで嫌だろうな、と思う。ベトナム帰りがまだ現役で仕事をしている時代で、この戦争が壊した人生もたくさんあって、まことに凄まじく荒廃したミステリーだった。2026/04/24
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