内容説明
大藪春彦新人賞受賞作家が綴る、
心揺さぶる感涙の時代小説。
天涯孤独の少女が本当の愛に触れたとき、
ひとり心に誓ったのは――。
命を狙われ、西国から遠く江戸まで逃れてきた少女のおりんは、
錺職人を目指しているお園の住む長屋で暮らし始める。
根っからの世話焼きで、おりんのことを家族のように大切にしてくれるお園。
束の間の幸せに浸るおりんだが、何者かがお園に矢を放ったことでその暮らしは一変してしまう。
もう二度と、自分のせいで人が死ぬところを見たくない。
今度こそ大切な人を守ると心に決めたおりんは、
長屋の隣人である武士の佐伯とともにお園の周囲に目を光らせる。
西国から追っ手が迫っていることも知らずに――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
嗚呼、まって、待ってよ。こんなラストは悲しい(泣)でも、これしかないのかもって思ってしまう私は鬼でしょうか。姉とも母とも慕うお園を守るため。佐伯への愛を自覚したおりん・・大切な人には生きていてもらいたいがゆえに、おりんが選んだのだ。憎しみの連鎖が断ち切れても、そこにおりんはいない。敵わないと思っても真っ向勝負なのだなと、おりんを助太刀する気満々な私の気持ちをどうしてくれよう。天羽さんにやられちゃった感じ(褒めてます)2025/07/22
タイ子
90
あー、ツラい!吉原のことを思えば何の不思議もないのだが、女性がしかも14歳の少女が身を売る商売を偏見もなくこんなにサラリと描く著者に感心。おりんは長屋住まいで提げ重をしながら簪職人のお園と、提灯貼りの内職で糊口を凌ぐ浪人者の佐伯に見守られ過ごす日々。物語は不穏な空気を纏いながら展開するのでそれもワクワクする。お園が何者かに狙われ、おりんも追手により命の危険が。佐伯も浪人の裏で何かがある。武家社会の忌まわしさ、嫉妬が絡む女の業、恨みの連鎖。少女の強さ、弱さは天羽さんの得意とするところ。だけど、これはツラい!2025/08/07
Kei.ma
27
逆恨みされているなんてとんと知らないお園さんは器量良しで優しいし、傘貼り浪人の佐伯様は可愛がってくれるし。だからてっきり下町人情噺と思いきや、額面とは大違い。襲撃あり、際どい陰謀あり大名家まで絡み、まるで憎悪の曼荼羅チャートだ。主人公おりんは13歳なのにお園さんを守る。自身も忍者から仇と狙われているのだが。だからお娼売道具の下げ重に物騒な仕掛けをしているけれど。さて土壇場の大勝負、おりんの簪、ぞくぞくする盛り上がり。楽しい、面白い、娯楽度最高の物語だぜ。2025/09/03
信兵衛
24
おりん、お園、佐伯ら登場人物のキャラクターが興味深く、面白く読み進めたのですが、少々不自然というか、無理筋と感じてしまう印象を否めず。 それにしても、最後の結末には・・・・唖然。2025/08/14
ぶんぶん
23
【図書館】天羽氏の長編第二弾! 今回は「抜け忍」もの。 良く考えられた時代劇、忍びの世界や武家社会の裏側、二つの世界が絡まり続いて行く。 ちょっと、無理筋も見かけられるが堂々たる時代劇である。 ラストが夢か幻か、現か夢かと読者に委ねるのが良い、これで次回作の繋がりが出来る。 良い作家だがまだまだ二作というのが残念、もう少し書いて欲しい。 売れっ子になるには、我武者羅も必要、でも、作者のお歳を考えると無理も出来ない。 くれぐれもご自愛戴き健筆を祈る。 次回作を楽しみに・・・2025/09/22
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