内容説明
12歳の少女サマァが生きているのは、いずれわたしたちもそうなるのかもしれない世界。地球の表面からほとんどの生命が消えて、砂漠に飲みこまれた世界だ。人々はそこで遊牧の民となり、残った木々を狩り、生きるためにそれらを材木にして売っている。サマァも木々を狩るハンターになりたいが、それは部族の掟で男の仕事。諦めきれないサマァは密かに準備し、ある日、狩に出たハンターたちのあとを内緒でついていく。しかし、砂漠にはさまざまな顔がある。道に迷ったサマァは獣と遭遇、さらに強烈な砂嵐に巻き込まれ深い穴に落ちてしまう。そこでの衝撃的な出会いがサマァの人生観を変えていく。穴の底で食料が尽き、日に日に弱っていくサマァ。それでもサマァがつかんだ真実が、部族全体の運命を永遠に変えることになる。サマァの1人称によるサバイバルファンタジー。詩的な雰囲気とともに強く切ない意志が伝わってくる命と希望の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
164
自然の偉大さ、食物の大切さ、水源の尊さ、心の潤い。豊かさは今ここにあるから当たり前に感じるが、砂に覆われてしまった世界では無意味なものとなる。多種多様な生物も命を尽きてしまった。砂と風しかない夜に独り。囀りもせせらぎも聴こえない。人間は種一粒作りだすこともできないのに、失ったものを取り戻すこともできないまま忘れ去る。人間は不変ではない。行動し経験を積めば当然変化していくものである。長老の語り継ぐ世界は決して幻想ではない。音や色、光や影、動と静がこの実世界にあると気づいたとき、希望の双葉は芽生えるのだろう。2025/05/21
☆よいこ
92
児童書。YA。破壊された文明、砂漠化した世界で生きる少女の物語▽砂漠でテント暮らしをしている一族は、ハンターは「木」を狩る。数ヶ月をかけて見つけた木を切り倒し商人に売ると、水ゼリーとプロテインバーと酸素ボンベを手に入れることができる。ハンターは男のみと決められているが少女サマァはハンターになりたい。サマァは狩りに出るハンター達の後ろを、こっそりとついていくが砂漠で迷ってしまった。偶然落ちた穴でサマァは巨木を見つけ生き延びる▽ディストピアサバイバル。良本。2025.3刊2025/08/30
まる子
26
この国(場所)では男しかハンターになれない。しかしサマァはミュルファへ行く事を宣言したー。ここはかつて緑や木湖があった場所だけれど、今や砂漠。木は地下に潜ってしまうため酸素が不足する中、人々はなんとか食糧を得て生きる。未来のはずが…。ナウシカのような設定に感じた(ナウシカは未来を予測しているのかも?!)地球温暖化、環境問題を抱える現代に生きる私たちの、そう遠くない未来なのかも知れない。十年に一度のセレモニーで読まれる〈本〉とその先のサマァの未来はどうなっているか、読者に見届けてほしい。2025/06/30
空猫
22
児童書だった。地上が砂漠化し、街に住む裕福層と、狩りで生きる貧困層とで二極化する未来。ある少女が想いを寄せる少年が加わる狩りのチームを一人で追いかけ、窪地に落ちて帰れなくなってしまい…う~ん…『…ナウシカ』を薄〜くしたような、たいした盛り上がりもない話だったよ。子ども向けにしても…ガッカリだった。2026/06/22
読生
6
私たちは消費して生きている。 消費しなければ生きていけない。 しかし消費した分生み出さねば全ては尽きてしまう。 ましてやそれを自分たちで壊してしまっては。 彼らが生き延びているのは文明の力。 しかし彼らを苦しめているのも文明がもたらす副作用。 新たな文明を起こさねばならない。 育てねばならない。 消費したものを補充しなければならない。 その力はまだある。 まだあるうちに。2026/03/30
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