内容説明
この本は、作家である私、夢見里龍が収集した「奇妙な構造をした家の体験談」を小説の形に書きおこしたものです。発端は小説投稿サイト上のエッセイでした。「生活をするのに不便はない。欠陥住宅というわけでもない。でも、明らかに奇妙な家なんです」それは〈排水口がすべての部屋にある家〉に住む主婦の投稿でした。以来、私はネットで見つけた奇妙な家群を「ひらく家」と名づけ、親交の深かった読者のヤモリさんと考察を語らうようになりました。ネット上の記述なので、全てはフィクション。そう考えていたんです。でも、ある体験をして気づきました。これらの家は本当に存在すると。私は本書を通じてみなさんに警戒を促します。あなたは今、「ひらく家」に住んでいませんか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
69
ジワジワと闇に侵食されていく感覚を味わえる体験型の家ホラー。生活に不便はない、でも明らかに奇妙な家がある…。Webや雑誌に投稿された“奇妙な家”を作者が収集して小説にしたという1冊。一話ごとに注意書きで「本書を読んでいる時に何か起こったらすぐに読むのを止めるように」という注意喚起が入るのが臨場感を煽る。ある主婦の体験談ではなぜか全室に排水口があり夜になると下から奇妙な音がする家の怪異。また天井裏にナニカがいるという掲示板の過去ログ。最後の「あなたの家は大丈夫ですか?」という問いかけがまた恐怖を呼び覚ます。2025/08/30
のりすけ
47
けったいな家についての怪奇談をモキュホラ風に仕立て上げた家族ホラー(あってる?)。まさかこれを真実だと思う人はいないだろうが、そういう意味ではうまく作り込んでる。ただ怖がらせたるでぇ!という気概がムンムン伝わって来て「う~~ん」と、ちょっと冷静になってしまったり。巻き込み手法は多くの人が怖さを感じる方法だけど、余りにも注意が多いと少しばかり「しつこいな」と言う気にもなりがち。知らんけど。家の怪奇より夫婦や家族の心情の絡まり具合の方が絶妙に厭。2025/08/15
よっち
26
作家・夢見里龍がネットで収集した小説投稿サイトの「奇妙な構造をした家の体験談」を小説の形に書きおこしてゆくホラー小説。小説投稿サイトに投稿されていた、排水口が全ての部屋にある家に住む主婦のエッセイを発端に、ネットで見た様々な奇妙な家を「ひらく家」と名づけて、親交の深かった読者ヤモリさんと一緒に考察を語らうようになっていく展開で、ひとつひとつのエピソードも不気味な家の造りだったり、壊れていく家族の様子にじわじわと来るものがありましたが、それがいつの間にか当事者として巻き込まれていく恐ろしさも効いていました。2025/07/30
佐倉
20
家/イエに纏わる四つの怪談と作家の考察。理想とか幸福とかジェンダーロールとか「あるべき家」に固執してしまった人々と、それが綻んだ瞬間に侵食する怪異というテーマが家系であり厭系でもあって好きなタイプの1冊だった。すべての部屋に排水口のある家の奇妙さ、それと並行してあるべき家、あるべき子供のカタチを追い求める語り手の違和感が気持ち悪くさせる第一の家、理想的な家族の在り方が決定的に崩れてしまい、泥沼にはまる第三の家のやりきれなさが好きな作品。どのエピソードも最後は取り返しのつかない雰囲気が感じられてそこも怖い。2025/09/29
tomomo
18
図書室本 怖かったし面白かった でも何だか概視感 三津田先生の『どこの家にも怖いものはいる』を思い出した 第一の家のカクヨムに投稿された主婦の体験談、三津田先生の方も主婦の日記からだったような? そしてバラバラのお話が繋がっていく感じ 繋がり方は違くとも… ん?繋がり方は三津田先生の『わざと忌み家を起てて棲む』に似てる? 三津田先生の作品読んだのかなり前だからしっかり覚えてないけど 「注意」まで似てる 何かの意図によって建てられたお家って嫌 家族以外の何かが棲むお家も嫌過ぎる2025/08/18
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