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内容説明
新規事業開発の失敗には“型”がある!
なぜ新規事業が頓挫してしまうのか?
その“失敗の構造”を徹底解剖。
生成AIの登場に象徴される技術革新や不安定な世界情勢など、企業がおかれた経営環境は先行きを見通すことが難しい時代に突入しています。技術の進歩が目まぐるしく、また不確実性が増す現代において、企業が世の中の変化に対応し持続的な成長をしていくためには新たな収益源の確保、すなわち新規事業開発が不可欠になります。しかし著者は多くの企業が新規事業開発に苦戦しており、黒字化できずに撤退せざるを得なかったり、そもそも事業開始前に頓挫してしまったりと、思うような成果が出せないケースが少なくないといいます。実際、2023年にアビームコンサルティングが大手企業を対象に行った調査では、新規事業が中核事業にまで育った割合は3.2%にすぎません。
著者はリクルートで事業開発部門の設立に携わり、独立後も数多くの企業で新規事業開発支援を行ってきました。これまで様々な新規事業開発で成功と失敗を経験してきた著者は、新規事業開発が失敗に終わってしまう原因は、「斬新さ」を重視するあまり自社の既存事業やアセット(資産や強み)とかけ離れた計画を作ってしまうことや、事業開発の進捗に応じた適切な人材配置ができていないことなど多岐にわたるといいます。そして、こうした“落とし穴”は新規事業開発のさまざまなフェーズに潜んでいるため、そこに落ちないよう道筋を見極め、避けることがプロジェクト成功のカギになると述べています。
本書では、新規事業開発を「事業構想」「立ち上げ」「成長・拡大」の三つのフェーズに分け、それぞれの段階で陥りがちな“落とし穴”について著者の豊富な経験を基に解説しています。実際の失敗事例をもとに、どのような問題が潜んでいたのかを具体的に掘り下げ、さらにそれに対する現実的な回避策について解説しているほか、制度設計や人材配置、社内調整といった実務に役立つ内容も豊富に盛り込まれています。
これから新規事業開発を主導する人、計画を進めながら行き詰まりを感じている人にとって新規事業を成功に導くためのヒントが詰まった一冊です。
目次
はじめに
[第1章]事業計画作成、立ち上げ、事業拡大……
3つのフェーズではまってしまう新規事業開発の落とし穴
生き残りを懸けて「新規事業」に挑む国内企業
新規事業の成功率は「千三つ」
新規事業の成功のカギは「落とし穴」の回避にあり
[第2章]既存事業で積み上げた自社の強みを活かしきれない……「事業構想・事業計画の段階」における落とし穴とは
新規事業開発は新商品・新サービス開発ではない
商品のアイデアからではなく「課題」からアプローチする
3C、4Pのマーケティングの手法では「課題」は見つからない
「不」があるかどうかを見極める
大きく抽象的すぎる「不」は事業につながらない
「不」から実現したいことを導くワーク
誰のどんな「お財布」が狙えるのかを考えてみる
想定する「お財布」が変われば事業計画も変わる
7年後のゴールに向かって構想を固める
新規事業は市場に投入してからが本当の勝負
新規事業を行う意義を確かめる
「飛び地」での新規事業は注意が必要
「アセットにとらわれるな」という言葉を気にする必要はない
アセットは意識しても、アセットから発想しない
既存のアセットを違う文脈で活かす
既存のブランドと営業組織の活用事例「ホットペッパービューティー」
既存事業との良好な距離感をつくる
新規事業開発部門は「長崎の出島」
新規事業開始時は数人程度の小さなチームのほうが動きやすい
事業計画段階で見極めたい「発射角度」
[第3章]拡大したいが失敗したくない……攻めか守りかで悩むジレンマ 「事業立ち上げの段階」における落とし穴とは
新規事業の開始告知は焦らずに
市場投入時点で人員を大量投入するのは危ない
「まずは無料」では、新規事業が大きく育たない
計画達成率15%は失敗なのか? 失敗分析から得られる知見が重要
顧客の感性的な拒否反応は覆しづらく、事業計画段階に戻すことも検討
滑り出しは好意的なユーザーも多く、ポジティブであることを意識する
新規事業の立ち上げ段階の最大の難所“2年目のジレンマ”
「守りを固めなければ」と思った瞬間が危ない
既存事業の顧客対応組織が担う「守り」とは異なる
「守り」を専門家に任せると事業が成熟しない
「守りの開発」を後回しにすると気がつけば衰退が始まる
実は単純なのにアイデアや機能追加に走ってしまう
量的な大きさは追わずクレームと向き合う
遠くを見ることが必要
[第4章] 目の前に訪れた「跳躍のチャンス」を活かしきれない…… 「事業成長・拡大の段階」における落とし穴とは
「跳躍のチャンス」は必ず来る
育ててきたことにこだわりすぎる
安堵して目標を見失う
成功分析をしても飛躍はない
機能充実、機能プラスを永遠に続けて満足してしまう
ライバル登場で焦って独自性を失うことも
もう一度目標を見返して「跳躍のチャンス」をつかむ
社内連携で事業を拡大のステージに乗せる
一部の機能を保留して拡大フェーズに持ち込むことも
新規事業開発のゴールは既存事業部門への引き渡し
最後までやりたいと考えるのはむしろマイナス
既存事業部門へのスムーズな移管方法例
[第5章]3つのフェーズの落とし穴を回避し、企業の柱となる新規事業を大きく育てていく──
新規事業開発に向いている素質
冒険家のマインドも必要に
苦闘を愛せ
新規事業開発チームが会社にエネルギーを注ぐ
新規事業の部門長に求められるリーダーシップ
世の中に新たなものを出して使ってもらう楽しさ
つくるのは、この先何十年も続く「事業」である
おわりに
付録
新規事業の計画策定から拡大までの各段階のチェック表
新規事業開発の落とし穴ポイントと回避策のまとめ