FREE - 歴史の終わりで大人になる

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¥3,300
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FREE - 歴史の終わりで大人になる

  • 著者名:レア・イピ/山田文
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 勁草書房(2025/07発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326852048

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内容説明

社会主義下のアルバニア。粛清と困窮にあっても自由への期待に満ちた少女時代は、1990年、抗議行動の高まりで一変する。自由選挙と市場開放に続く構造改革、移民増加、ねずみ講破綻は、その後激しい暴動に発展する。ある世代の希望は別の世代の幻滅となり、家族の秘密が明らかになる。ふたつの世界を往還する20世紀の成長物語。

目次

I

1 スターリン
2 ほかのイピ
3 471─簡単な経歴
4 エンヴェルおじさんは永遠にわたしたちのもとを去った
5 コカ・コーラの缶
6 同志マムアゼル
7 日焼け止めクリームの匂い
8 ブリガティスタ
9 アフメトは学位を取った
10 歴史の終わり

II

11 グレーの靴下
12 アテネからの手紙
13 みんな出ていきたがっている
14 競争のゲーム
15 わたしはいつもナイフを持ち歩いていました
16 これもまた市民社会
17 クロコダイル
18 構造改革
19 泣くんじゃありません
20 ヨーロッパのほかの国のように
21 一九九七年
22 哲学者は世界を解釈してきただけだ、重要なのは世界を変えることである

エピローグ

謝辞
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

TATA

31
アルバニア国家の趨勢を見てきた著者による追憶記。私が中学生の時に「鎖国の国」と習った。国家全体がネズミ講で資産を失ったとニュースで見た。どんな国なんだと殆ど国交のない国への興味はずっと尽きることはなかった。6年前に旅行した、首都ティラナと世界遺産の街ベラット。ガイドの方にアルバニアの歴史を聞いた。英語を話せることが生きる道だったと。トルコ、イタリアに占領され、戦後共産主義国家となり中ソと仲違い。複雑すぎる歴史の一端がようやく理解できた。国の体制変更がいかに国民生活に混乱をもたらすか。考えさせられます。2025/06/21

練りようかん

13
1979年アルバニアで生まれた政治学者の回想録。1990年、土台となる家族や政治の価値観の転換が起きた。克明に覚えているのは第二次性徴期だったことも理由のひとつに思えて、TVで外国には食料引換券がないことを知り、生きてる世界の内と外を意識する少女時代は国は違えど自分と重なるところがあり不思議な既視感に襲われた。波瀾万丈な半生を送った祖母の個性が強い、連帯はないと思い込んでいた母のエピソードも印象的だ。社会主義から自由主義へ。どんな体制にも拘束はあり内面の自由が失われないことが大切という言葉が心に残った。2025/08/20

ほなみ

5
アルバニアが社会主義から自由主義に変わる時、少女が見た世界を描いた小説。 最初はよくわからなく、正直つまらない印象であったが、最後の方はどっぷりハマってしまった。アルバニアは自由主義になった途端、ネズミ構が流行り、人口の3割が財産を失ったと言う国である。 そんな中で社会主義時代に幼少期を生きた主人公は、自由主義を忌み嫌うところも見られる。 側から見ると素晴らしいことが、個人目線で見るとわからなかったり、実際その中で育った人の感性や幸せが何か考えてしまう。 ポジションだなと改めて思う2025/05/27

むきぐり

3
高校生のとき、現代でも「鎖国」をしている国があると知り、そのとき初めてアルバニアという国を知った。1989年の東欧革命のときもアルバニアはまだ社会主義で、「どれだけ締め付けられているのか」と思ったが、翌年に政権崩壊し、しかも経済的な混乱から内戦に発展。国の大変革の中で大人になった著者の自伝小説は、20世紀末の「アンネの日記」だと感じた。無邪気に信じていた共産主義の未来が崩れ、家族の歴史があきらかになっていく中盤は鳥肌ものだった。だが希望も砕かれる。著者は哲学者だというが、この物語そのものが哲学だと感じた。2025/09/19

イカカイガカ

3
とても興味深く、読んで良かったと思える一冊だった。社会主義化のアルバニアで生まれ育った著者。一人の少女から見た祖国の歴史と家族の物語。1990年に体制が転換、市場経済化と自由選挙が行われ、それまで信じていたものが否定される。1997年には経済破綻を契機に暴動へと発展。身近に接していた人々を含む多くの死傷者を出す内戦状態となる。その後、国外の大学へ入学し、学者の道へ。専攻はイマヌエル・カント、マルクス主義と批判理論。社会主義と資本主義、双方への批判的視点と、真の自由とは?との問いが印象的。2025/03/22

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