アンビバレント・ヒップホップ

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アンビバレント・ヒップホップ

  • 著者名:吉田雅史
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • ゲンロン(2025/06発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
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  • ISBN:9784907188580

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内容説明

ハイとロウ、芸術と路上、知性と野生。
異形のヒップホップ論にして、斬新な現代文化論。
批評再生塾の初代総代にしてラスボス、MA$A$HIが遂に単著デビュー!
──佐々木敦(批評家)

最後の音楽であるヒップホップは、未だ強く新しいナラティヴを生み出そうとしている。
そしてやがてそれは終わるだろう。
モダニズムという脂質と、歴史という糖に、同時に淫する、誠実な吉田の、誠実な両価性(アンビバレンス)。
──菊地成孔a.k.a. N/K


アメリカと日本(フッド)に引き裂かれた日本語ラップには、戦後社会のアンビバレンスが凝縮されている。
緻密な楽曲分析を通し、ヒップホップの本質とこの国の「リアル」を抉る、衝撃の日本=ラップ論。

目次

【目次】
はじめに
ヒップホップという生き方/なぜヒップホップについて考えるのか
ヒップホップの黄金期/ローカライズからトラップへ
リアルとアートのアンビバレンス/本書の流れ



第1章 リアル
ボースティングという名の構え/ストーリーテリングの誕生
ジェイ・Zとケンドリック・ラマーの話法/ヒップホップはリアリティ・ショーなのか
マック・ミラーという特異点/ラッパーという名の芸術家
フェイク・ドキュメンタリーをまなざす



第2章 オーセンティシティ
アメリカの影、再び/日本語ラップという片割れのバンズ
日本語ラップVS. J―RAP/ビートとジャズの出会い/ヤン富田の現代音楽
DJ KRUSHとビートの旅路トリップ/ビートに宿るオーセンティシティ



第3章 フロウ
平板な日本語という条件/押韻という名の欲望
Keisuke Kuwataという起源/日本語ラップにとって七五調とはなにか
日本語ラップ論争/英語の会話はラップなのか
SEEDAによる日本語解体/KOHHと破調のフロウ
失われたダサさ



第4章 風景
風景の発見、再び/いとうとZeebraの東京/フッドの発見
THA BLUE HERBの原風景/SEEDAとKOHHの東京
MVは何を映しているのか?/ヒップホップ=ヴィジュアル系
唇の功罪/ハイパー・シンクロニゼーション/ラッパーと映像による共犯
カニエ・ウエストは不死鳥の夢を見るか/ドンダという名のフッド
ラッパーにとって映えとはなにか



第5章 ビート
少しだけ未来を見通すビート/反復するのは人間か、機械か?
アクシデント起源説:ビートメイカーの自我確立
コラージュとしてのサンプリングアート/アンビエント・ヒップホップに耳を澄ます
Gファンクと生演奏/南からのキーボード・ビーツ
トラップ:ノリと低音の革命/パラメータ化するビートと署名
808という名の署名



第6章 日本語ラップ
日本語という条件/複数形のグローバル・ヒップホップ「ス」
二〇一〇年代のUSラップ/DJ KRUSHとJinmenusagiの化学反応
『KUUGA』の唯一無二性/舐達麻流エモラップ/鬼と妖怪とラッパーたち
アメリカの影の外へ/日本語ラップという名のワイルド・スタイル



あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

36
ゲンロン批評再生塾で初代総代になり、その時の提出文と後の連載が足掛け9年ようやく結実した。この間に表現や論理が誰にでも分かり易いようになった。敷居を低くして音楽の外の読者にも文化論として、ヒップホップ入門として読む選択を与えている。アンビバレントとはドキュメンタリー性を持ったリアルとフェイクの二重性、乗り越えた先に本当のリアルが見えるという弁証法のことだ。アメリカ文化を輸入しつつ独自の発展をみせ、日本的なリリックに結実させる二重性、近接性や類似性を論じる批評の手法は使いつつ、ラップは古典文学や歌謡の延長線2025/03/09

しゅん

14
アンビバレントというのは、ヒップホップがフェイクとリアルの間で揺れなきゃいけない、シュミラークルとオーセンシティの間で揺れなきゃいけない、日本語ラップが日本とアメリカの間で揺れなきゃいけないという曖昧さを指す。価値転倒こそが本質であるということは、本質的な価値が定まらないということでもある。6章の論点からヒップホップの曖昧さを明確にする本作は、日本のラップとアメリカのラップの話を一冊で描きながらどちらの歴史も示す。その点で入門書でもある。東京の風景の描き方がどう変化したかの話をとても面白く読んだ。2025/03/29

wasabi

1
凄い。今後ヒップホップやラップ、あるいは現代でポップミュージックを語る上では本書の参照が基準になるのではと思わせるぐらいの良書。とかくセールスや関係者同士の内輪ネタ、政治的な事情が前面で語られがちなこの音楽ジャンルにおいてここまで音楽の話に振り切って、しかも日本とアメリカのシーンを一冊の本で同じものさしで語るという離れ業。いや、本当凄いな。2025/04/29

あば

0
アメリカ発のヒップホップという文化を、日本語ラップとして輸入するときの葛藤すなわちアンビバレントな姿勢、あるいはヒップホップにおける「リアル」と、「ボースティング」=フィクション的な態度の間で揺れるものを、いかに乗り越えてきたか、はたまた価値転倒をおこしてきたか、いくつかのゲームチェンジャーや代表曲を用いながら補助線を引いた一冊 個人的にはMVあたりの話がいちばんのれたが、やや大きく出たなという感じも否めなくてぼんやり目を滑らした箇所あり2025/05/20

So Honda

0
アメリカのヒップホップ史を参照しつつ、日本のヒップホップについて言葉、フロー、ビート、描く風景、リアリティを丁寧に考察していく。「日本語のロック」の黎明期と同じようなトライアンドエラー、そしてつきまとうアメリカの影。さらには内村鑑三のキリスト教だったり、日本近代詩の韻の試みなど、近代日本が西洋文化を取り入れていく試みの文脈にも目配せした考察は思った以上に興味深く、教養の深まった1冊だった。youtubeやサブスクで関連音源・映像を見ながら読み進めるとなお楽しい。2025/04/30

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